【𠮷野家】生徒との出会い、他企業との出会い 多角的な視点を手に入れ、リーダー像も更新

クエストエデュケーション(※)・企業探究コース「コーポレートアクセス」は、中学生や高校生が教室にいながら企業のインターンシップを体験し、企業理念をもとにした課題(ミッション)に取り組むプログラムです。企業もその活動に伴走し、生徒のアイデアの深化と成長を見守ります。

(※)クエストエデュケーション……教育と探求社が提供するさまざまな探究学習プログラムの総称。各プログラム参加者が、1年間の活動の成果を社会に発信する全国大会もあります。

そうした活動で企業の社員のみなさんが得るものとは。参加者の声をご紹介します。

CHECK1 参加者の横顔
立場が上になるにつれ、現状に危機感をもった

ー会社ではどんなお仕事をされていますか?

今は経営企画室で、新商品開発やキャンペーンの仕事をしています。

勤続20年で、スタートは現場の店長。「一人でも多くのお客さまに来ていただくにはどうすればいいか」を考えるなかで、大事だと思うようになったのは、現場で一緒にはたらくキャストが楽しく仕事をできるようにすることと、そのためにも店長が自分なりの信念をもって皆に伝え続けることでした。

慣れないうちは苦しいこともありましたが、皆で楽しみながら取り組んだことが成果にもつながってくると、やりがいを感じるようになりました。

ー参加した動機や、参加前の心境を教えてください。

会社のほうから「中学生や高校生と一緒に、企業のミッションに取り組む社員を選抜する」という話があり、興味をもって自分から手を挙げました。

現場の店長からエリアマネージャーになったあたりから、「考えるべき事業サイズが大きくなったことに、自分が対応しきれていない」のを感じていました。過去の経験からするとこうだろう、という一つの解しかもっていない。

それだけに、自分の「引き出し」を増やせるようなことに挑戦してみたかったのです。とはいえ、通常業務への支障はないか、不安も抱きながらの参加でした。

CHECK2 生徒とのふれあい
「𠮷野家ってそういうふうに見えているんだ」

ー活動してみて印象的だったことを教えていただけますか。

生徒たちと共に考えたのは「あなたの街の『ずっと大切』を生み出す𠮷野家の未来ビジネスを提案せよ!」というミッション。

進めるなかで、たくさんの気づきがあった活動でした。例えば、生徒のみなさんの𠮷野家のイメージが思っていた以上に偏っていたり。「若い人には𠮷野家がそう見えているんだ」という気づきがありました。

また、複数回通った学校では、社会人の心得として私が伝えたことを「実践した」と言ってくれた生徒がいて、自分の話したことが彼の新たなチャレンジにつながったということにも嬉しさを感じました。

ー中高生と接するにあたり、意識したことはありますか?

教育と探求社による事前研修で「生徒の発言を否定しないでください」と言われていたんですね。それだけに、相手の意見を一回聞き入れることや、こちらが正解を示すのではなく、本人たちに考えを発展させてもらうことを意識しました。

生徒たちが偏った𠮷野家のイメージに囚われていたときも、「𠮷野家はこうだよ」と教えるのではなく、「𠮷野家という先入観を捨てて、どんなお店がいいかを考えたらどう?」とアプローチを変えることで発想を広げてもらったり。実際、そうするとたくさんの意見を出してくれたのです。

最初は私自身「かっこいいことを言おう」と肩の力が入っていましたが、次第に「こたえのわからないミッションを一緒に考えよう、学んでいこう」と思うようになりました。

学校での活動の様子(画面右手前に立たれているのが池ノ谷さん)

CHECK3 自分が得たもの
発想の幅が広がり、マネジメントの仕方も変わった

ー活動のなかでご自身が得たものはありますか?

多角的な視点です。
自分にはなかった生徒のみなさんの見方や考え方。

それから、他の参画企業のみなさんの発想も。
生徒たちはチームごとにさまざまな企業のミッションに取り組んでいて、その各チームの中間報告に対して、複数の企業でフィードバックをする機会がありました。その際の他企業の方のフィードバックが、「そういう考え方、とらえ方もあるんだ」と大変参考になったのです。

いろいろな視点を得たことは、仕事上の課題を考えるうえですごくプラスになりました。

ー活動を経て自分のなかで変化したことはありますか?

これまでの私は、仕事でまわりを束ねる立場を務めるなかで、自分の思い描くものと違うことがあったときに、周囲に「こうしてください」と指示やお願いをするマネジメントをすることが多くなっていたように思います。

それが今回の活動を通して、同僚や店長、エリアマネージャーとも、相手の意見をしっかり聞いたうえで、「こういうのはどう?」と自分の視点も伝えながらコミュニケーションを取るようになりました。

押しつけのリーダシップを発揮するのではない、相手も意見を出しやすい、相談しやすいリーダーに一歩近づけたのかな、と思っています。

池ノ谷 剛司さん

株式会社𠮷野家ホールディングス 経営企画室 販売戦略担当
2003年4月 高卒未経験で𠮷野家に入社。
入社2年目店長配属。13店舗の店長を経験し、2019年9月エリアマネジャー配属。3エリアの担当を経験。
2022年12月経営企画室販売戦略担当配属。
現在の仕事は、営業部門とは違う本社部門で、不安を感じながらも常に新鮮さがあり、また20年前のように新たなスタートを切った気持ちで仕事をしている。

※肩書はインタビュー当時のものです。

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