【開催レポート完全版】探究学習のその先へ!QUEST HEROES 2025 開催レポート
2025年3月9日(日)、中高生と大学・社会をつなぐ探究イベント「QUEST HEROES 2025(クエスト・ヒーローズ)」が桃山学院大学・大阪あべのキャンパス(大阪市阿倍野区)で初開催されました。教育と探求社が主催し、中高生と大学生や企業人をつなぐ学び合いの場として、270名の中高生と大学生・教育関係者を含めた総勢400名以上が参加した本イベントは「探究の成果を発信し、学びを社会へつなげる」新たな教育の実践の場となりました。
※本記事は、先日掲載いたしました開催レポート第1弾に、当日の詳細や参加者のアンケート内容などを追加した完全版のレポートです。

■QUEST HEROESとは?
弊社のプログラム「クエストエデュケーション」を活用してこの一年間、探究活動に取り組んできた生徒たちが自身の学びを発信し、その活動をさらに発展させるイベントです。また、中高生と大学生が探求する意味に気づき、これまでの取り組みを賞賛し合うことで、探究学習を通した新たな高大連携の場をつくることを目的として開催しました。
今回は、桃山学院大学 あべのBDL(ビジネスデザイン学部ビジネスデザイン学科)を会場としてお借りし、インターン生として桃山学院大学の学生にもサポートをいただいています。
【タイムテーブル】
10:00〜10:15 オープニング(開会式・プログラム説明)
10:30〜10:55 第1部:生徒による探究学習の成果発表
14:00〜15:00 第2部:大学生によるワークショップ
15:15〜16:30 第3部:ナレッジカフェ Vol.14
〜17:00 エンディング(閉会式)
■当日の様子
オープニング(開会式)
今回のイベントにあたり、弊社プログラムに取り組んでいる履正社高等学校2年生の池上さんがオープニング動画を制作し、会場を盛り上げてくれました。
司会が動画に合わせて学校名を読み上げると、それに応える生徒たちの声で会場のボルテージがグングンと上昇していくのを感じました。



第1部:生徒による探究学習の成果発表
生徒たちは一年間にわたって取り組んできた探究学習プログラムの成果を発表しました。自分と同じプログラムに取り組んだ他校の生徒の発表を聴いてさらに学びを深めるだけでなく、自分たちは取り組んでいないプログラムの学びも発表を通して感じることができました。それぞれのテーマに対する独自の視点や、調査・研究のプロセスが発表に組み込まれていて、他校の生徒や来場者からの質問をもとに意見交換も活発に行われました。探究学習を導入している学校関係者にとっても、実践の成果を直接目にする貴重な機会となりました。
・参加生徒の感想(アンケートより引用)
「トップバッターで緊張したけれど、寝る人がひとりもおらず、真剣な眼差しで聞いてくれたので、すごく嬉しかったです。改めて、発表する側と聴く側によって、良い雰囲気ができることを実感しました」
・一般参加者の感想(アンケートより引用)
「中学生や高校生の子どもたちが、一年間取り組んできたことを発表し、質疑応答にも答えている様子を見させていただき、とても良かったです。
発表が終わった後、中学生に声をかけさせてもらい、質問もさせていただいたのですが、『普段の授業だと、話をしないような人とも一緒に取り組めた。男女関係なく取り組むことができた。大変だったけれど、取り組んでよかった』と話してくれ、大変充実した表情を見させていただきました。取り組みの良さが、子どもの姿からも見られました」


第2部:桃山学院大学主催のワークショップ
第2部では、桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 ビジネスデザイン学科の教授によるワークショップを行いました。大学の専門的な学びに触れることで、生徒たちは将来の進学に向けた視野を広げることができました。生徒以外の参加者もワークショップを見学し、生徒の様子や講義の内容からさまざまな学びを得ることができました。
【開講したゼミ一覧】
岩田千栄美先生 「中高生が楽しんで参加できるゲーム型避難訓練を考えてみよう!」
藤田勝利先生 「今日から使える!アントレプレナーシップと起業家的な考え方」
岩佐英彦先生 「みんなで考えよう!世界を変える!?スマホアプリ」
桃山学院大学生企画 「思いとアイディアを伝える『プレゼン』のつくり方」
ワークショップは講義の時間のほかに、グループワークも交えながら他校の生徒と協力して取り組む時間も設けました。参加生徒からは「とにかく楽しかった。大学ではこういうことも学ぶんだと知った」といった声や「他校の方たちとどんなものにするか議論するのがなんだか新鮮でした。班で行ったため、自分の意見も相手の意見も尊重しなければいけない難しさを知りました」といった感想が寄せられました。
大学での学びが講義だけでなく、実践的なアプローチを重視していることや、異なる背景を持つメンバーと意見をすり合わせていく難しさなどが刺激となったようです。
このワークショップでの教授や学生との関わりを通して、大学での学びは単なる知識の習得ではなく、自ら問いを立て、考え、社会のために自らの知識を活かして、社会とつながることができる場であることを生徒たちに感じてもらえました。
そして、大学とは座学以外にも社会的な課題を解決するための実践的な経験を積むことができる場であるということを実際に体験し、学びがどう社会とつながっているのかを具体的に理解する機会となりました。
・引率教員の感想(アンケートより引用)
「大学の授業は生徒の自主性、グループワークの活発化を取り入れている。自分が学生の時代と大きく違うなと衝撃を受けました。高校生は他校生とアイデアを出し合い、意見のすり合わせをするなど、授業では見られない姿を見せてくれました」
・一般参加者の感想(アンケートより引用)
「高校生が大学の先生や大学生と関わる機会というのは非常に貴重なもので、時間も大学の講義と同じ約90分に設定されており、高大接続という点で有意義なものだったのではないかと思う。同じ学校の生徒同士ではなく、違う学校の生徒とともにグループワークをするように構成されていたのも良かったと思う」


第3部:ナレッジカフェ(生徒×大人の対話)
第3部では、教育に関わる方々にさまざまな出会いを提供する場として大阪営業所が定期的に開催している「ナレッジカフェ」を、生徒も交えて開催しました。多様な立場の参加者が意見を交換し、新たなつながりを築く場となり、今後の探究学習の発展に向けた有意義なディスカッションが繰り広げられました。
このセッションでは、生徒と大人が混ざったグループで、この一年間の探求の過程や自身の成長についてじっくり振り返りました。
「QUEST HEROESに参加した理由」や「参加して感じたこと」「これから大切にしたいこと」といったテーマで対話し、探求の成果だけでなく、主体的に考えて取り組むというプロセスの大切さに気づくことができました。また、自らの成長や可能性を実感し、新たな挑戦に踏み出すきっかけを得る機会ともなりました。
・参加生徒の感想(アンケートより引用)
「他校の生徒をはじめ、大学生や企業の方とお話できて、将来大学生や社会人になった時、社会への向き合い方について考えることができる、とても貴重な機会だった」
「大人と子どもでこんなにも観点が違うんだということに気づいた。また、歳の近い大学生でも発想が全く違ったので、世界は広いなぁと思った」
・一般参加者の感想(アンケートより引用)
「このイベントが一番心に残った。自分は女子生徒4名+女子学生1名のグループに入ったが、どの子たちも、なぜ自分がヒーローズに参加したのかを熱く語っており、席替えで先生が「縁を大事にするために参加しました」と話していたのも印象的であった。生徒や先生も他校と交流することができて、とても有意義だったのではないか」
「中高生の中に入り交流することについて、最初はこっぱずかしいと感じましたが、いざ話してみると彼・彼女たちの探究を楽しむ思いや考えに触れることができ、日本の将来は明るいと感じられました。こうした思いを途切れさせることのないよう、大人たちももっと頑張らないとと思いました」


エンディング(閉会式):次の探究へ向かって
イベント最後の締めくくりとして、再び履正社高等学校の池上さんが制作したエンディング動画を上映しました。今日一日の取り組みを経て、参加者それぞれが次の探究の一歩へと踏み出すというメッセージを込めた動画は、生徒たちの成長を見事に表現しており、会場からは感嘆の声が上がるほどでした。
年齢や立場も異なる参加者全員が、それぞれの一年間の取り組みを認め合い、清々しい表情で会場を後にしました。
・参加生徒の感想(アンケートより引用)
「競う場でなかったため、他校の発表を素直にすごいなと感じたり、ここはどうなの?という気持ちで見ることができました。そして、コメントシートにも驚き、やはりここに来る子だなってくらい感想を書いてくれていて、すごく励みになりました!何より、また行きたい!!!と思いました✨️」
・引率教員の感想(アンケートより引用)
「生徒たちが勇気を出して学校を飛び出し、人前でのプレゼンや他校生とのつながりを楽しんでいる姿が可愛くてなりませんでした。
素敵な大人や大学生のみなさんに触れる機会をいただいて、刺激的な一日になりました」



今後の展望
今回のイベントでは、それぞれの一年間の探究学習の実践例を共有することで、中高生の学びに対する意欲を高めることができました。また、大学側にとっても、未来の学生と直接対話する貴重な機会となりました。今年度は複数の大学と連携し、より多くの中高生に「大学での学び」の魅力を届けるイベントへと発展させていく予定です。
さらに、大学と企業が協力し、高校生の探究活動を社会とつなげる仕組みを構築していくことも視野に入れています。探究学習の成果を社会課題の解決につなげる実践的な機会を増やすことで、生徒たちの学びの意義をより深くし、未来への展望をより明確に描ける場を提供していきます。
■次回開催情報(QUEST HEROES 2025 Summer)
今年度は、一年間の探究学習の中間地点である8月にも、QUEST HEROESの開催を予定しています。参加者はいくつかのテーマから自分が取り組みたいものを選んで、学びを深めます。そして8月の機会を経て、来年3月にも成果発表の場、大学との連携の場としてQUEST HEROESを開催いたします。

日時:2025年8月7日(木)10:00〜17:00 ※18:00より懇親会を予定しております
会場:桃山学院大学 ビジネスデザイン学部
〒545-0011 大阪市阿倍野区昭和町3丁目1−57
(大阪メトロ御堂筋線「昭和町」駅より徒歩7分)
対象:以下のプログラムに今年度取り組むチームおよび生徒
※大阪営業所と一緒に学びを進めている学校の生徒 (観覧はどなたでも可能です)
企業探究コース/進路探究コース/社会課題探求コース/起業家コース/問い探究コース/お金の力/株の力
〈イベント内容(予定)〉
第1部:プログラム別ワークショップ(生徒による発表はございません)
※内容は現在調整中ですが、プログラムの特色を踏まえたワークショップを開催します。
なお、プログラムによっては合同での実施を予定しております。
第2部:大学主催ワークショップ
第3部:ナレッジカフェ
新たなつながりの創出を目的に、生徒・先生・大学関係者・企業の方々が「探究」をテーマに語り合い、交流できる場を設けます。
探究学習の中間地点として、学びを深めたい中高生・教育関係者の皆さまのご参加をお待ちしています。
参加希望の方は以下の申し込みフォームの回答をお願いいたします。
【QUEST HEROES 2025 Summer:2025年8月7日(木)10:00〜17:00】
〈参加申し込みフォーム〉
〈お問い合わせ先〉
教育と探求社 大阪営業所(osaka@eduq.jp)