【開催レポート】「探究学習」の停滞は“職員室”から変えられる?教育と探求社×MIMIGURI 共催セミナーを開催しました
2026年1月29日(木)、オンラインセミナー「『探究学習』のあり方を、『教職員』の組織開発視点で捉える ─教職員『集団』から教職員『組織』への変容を考える─」を開催しました。
平日夕方にも関わらず、職員室や校長室、自宅、電車内など様々な場所から全国の先生方が参加。チャット欄には共感や気づきのコメントが次々と投稿される、熱量の高い場となりました。

■ 企画背景:なぜ「探究」に「組織開発」が必要なのか?
「一部の熱心な先生だけが孤軍奮闘している」
「担当者が変わるとまたゼロからのスタートになる」
「教科や学年の壁があり、ノウハウが共有されない」
こうした課題は、教育と探求社が20年以上学校現場に関わる中で、繰り返し直面してきたものです。チャット欄でも「全部当てはまる」「耳が痛い」といった共感の声が多く寄せられました。
これらはカリキュラムや教材の問題というよりも、「職員室(組織)のあり方」に起因しているのではないか。職員室が変われば、生徒の学びも変わるはずだ。
この仮説を紐解くために、組織開発コンサルティングのプロフェッショナルであるMIMIGURI大野氏と、弊社の関がタッグを組み、本セミナーは企画されました。


■ 当日のエッセンス:職員室を「冒険する組織」へ
「集団」と「組織」の違いとは?
キーノートでは、大野氏がチェスター・バーナードの定義(共通目的・協働意欲・コミュニケーション)を引用しながら、学校組織における「集団」と「組織」の違いを解説しました。
- 集団の状態: 「自分のクラス運営」が目的。個人の分掌さえ全うすればOK。一方向的な事務連絡が中心。
- 組織の状態: 「学校全体でどう生徒を育てるか」が目的。全体課題への協働意識がある。双方向の対話がある。
参加者からは「『学年』は組織だが、学校全体だと『集団』になっている」といった鋭い自己分析も挙がり、多くの共感を集めました 。
なぜ職員室が変わると、子どもが変わるのか?(モデリング理論)
本セミナーの核心である「なぜ大人が変わると子どもが変わるのか」については、心理学の「社会的学習理論(モデリング)」を用いて説明。
「子どもたちは、大人のあり方を見て学習します。もし職員室がお互いに無関心であれば、子どもは『学びとは孤独なものだ』と学習してしまう。逆に、先生同士が対話し、葛藤しながらも協働する姿を見せれば、子どもたちの学びもまた、対話的で深いものへと変わっていきます」(大野氏)
先生自身の指導スキル向上(人材開発)だけでなく、職員室の空気とつながりを整えること(組織開発)が、結果として子どもたちの成長を最大化させる、という視点は多くの参加者の納得を呼びました。

まずは「揺さぶる」ことから
では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。
MIMIGURIが提唱している組織づくりのモデル「CCM(Creative Cultivation Model)」の活用方法として、「見渡す(現状把握)→揺さぶる(固定観念の問い直し)→つなげる(再整合)→育む(定着)」というステップが紹介されました。
いきなり大きな改革をするのではなく、「今ある営みをほんの少し変えてみる(揺さぶる)」ことから組織開発は始まる、とのアドバイスもありました。
- 会議の冒頭にチェックイン(今の気持ちの共有)を入れる
- 研修の最後に「それぞれの学び」を共有する時間を作る
- 「問い」の形を変えてみる
また、組織開発の第一歩として「プロフィール帳づくり」などのアイデアも紹介されました。
■ 現場のリアルな悩みと「対話」
後半のダイアログセッションでは、「先生間の温度差をどう埋めるか?」「エース教員への依存からの脱却」など、現場のあるあるテーマをもとにトークが展開。
特に「温度差」の話題では、「温度を無理やり上げようとするのではなく、『なぜその温度差が生まれているのか』という背景(Why)をお互いに聞き合う対話を出発点に始めてみる」という結論に至り、共感の声が多く寄せられました。

■ 参加者の反応とこれから
当日や後日のアンケートでは、前向きな感想やうれしい報告が多く寄せられました。
- 「探究学習を来年度から始めるが、まず教員からというところで悩んでいた。解決の糸口が見つかった」
- 「職員室の物理的な変革も考えています」
- 「教職員プロフィール帳づくり、やりました!それを糸口に雑談が増えました」
「組織が変わるには時間がかかる。少しずつの変化を認識していく覚悟が必要」という大野氏の言葉通り、明日からすぐに全てが変わるわけではありません。
しかし、まずは職員室の空気を少し「揺さぶる」ことから始めてみよう──そんな静かな決意が共有される会となりました。
MIMIGURI 大野氏もnoteにて当日の様子を掲載されています。ぜひご覧ください。
https://note.com/masateru_ono/n/n382a5b4aaa94