【開催レポート】「ナレッジカフェ vol.18「わたしのCHOICEが、社会をつくる。」を開催しました
~デジタル×金融経済教育×探究がつくる学びのかたち~

2025年8月22日(金)、「ナレッジカフェvol.18」が、三菱UFJフィナンシャル・グループ及び三菱UFJモルガン・スタンレー証券の協力のもと、三菱UFJ銀行大阪ビル本館1Fのギャラリーラウンジにて開催されました。
金融や教育に携わるゲストスピーカーによる対談や、実際に学校で実施されているプログラムの体験を通じて、デジタルと探究と掛け合わせた新しい金融経済教育の可能性について考える貴重な一日となりました。
ゲームを通じて学ぶお金の役割
前半では、金融経済教育プログラム「お金の力-CHOICE-Digital」を参加者全員で体験しました。後半はゲストスピーカーである三菱UFJフィナンシャル・グループの常務執行役員(金融経済教育担当)南里彩子さんと早稲田大阪高等学校の米田謙三さん、教育と探求社代表取締役社長の宮地勘司との対談を実施し、金融経済教育の未来について考えました。
お金の力-CHOICE-Digital とは
これからどのように変化していくかわからない世の中を生きていく生徒たち。人生のさまざまな場面でお金に関する「選択」をしていく中で、より良い選択ができるよう、実際に社会に出る前に疑似体験できる金融経済教育プログラムが「お金の力-CHOICE-Digital」です。
このプログラムでは、生徒たちが“架空の島の住民”となり、チームで話し合いながら「お金の使い方」について選択していきます。「貯める・買う・増やす・譲る」といった行動を通じて社会性・価値観・人生観が浮き彫りになり、デジタルログや対話・記録を活用した振り返りを行うことで、学びが深まる仕組みです。デジタル端末を活用することも一つの特徴です。

ゲーム体験後、参加者からは、「普段の生活と同じようにお金を使っていたら、環境に悪影響が起こっていた。日常でもこういった影響があるのかとショックを受けた」という意見や「お金に関する選択をすることで、普段考えてないところにも今回目が向いた」といった意見が出ていました。何気ない行動の積み重ねが、思いがけない形で社会や環境に影響を及ぼすという体験を通じて、参加者は驚きと新たな気づきを得ていたようでした。
最初は、自分たちの目標を達成することに意識が向いていた参加者たちも、だんだんと全体の環境や社会の数値を意識し始め、自然とグループ間での対話や協働が生まれていました。
学校における金融経済教育の未来
ゲーム体験のあとは、「学校や職場でなぜ金融経済教育を行うのか」「どのような壁があるか」というテーマで、ゲストの南里さん、米田さん、宮地のトークをもとに、参加者も含めて対話をしました。

その中で、南里さんは「金融経済教育は、『生きる力』を学ぶこと。MUFGとしても、生活と人生をデザインする考え方を身に付けることで、生徒たちがより良い人生を生きるお手伝いをしていきたいし、弊社だけでなく、金融業界全体でもっと盛り上げていくことが大切だと思っている」と熱い思いを語りました。
対して、宮地も「金融経済教育は性教育と同様に学校では『扱いづらい内容』だったが、生きていくうえでは大切なこと。『お金の力-CHOICE-Digital』は、単なる投資教育ではなく、心、気持ちが動くことにフォーカスしたプログラムになっていて、お金と人生に関する価値観を育みます。ぜひ多くの中高生に体験してもらい、お金を使うという行動の意義や影響をもっと感じてほしい」と述べています。

お金の働きを学び、自分の暮らしや社会を考える
参加者からは「まだ学校には金融経済教育のノウハウが少なく、なかなか実践に踏み切れない」「変化を嫌う先生もいて、新しいことに取り組みづらい雰囲気がある」「金融経済に関する専門的な知識を持った人が少ない」といった声もあがりました。
このように、取り組みに対するハードルが高いことについて米田さんは「金融経済教育=投資を学ぶと思われがち。本来は、お金の働きを学ぶことを通じて、自分の暮らしや社会について深く考え行動する態度を養うもの。ここに様々な障壁を乗り越えるカギが隠れているのではないだろうか。金融経済教育を、投資のような専門的な知識を教えるだけのものではなく、自分の暮らしや社会について深く考える機会として捉えてみるといいかもしれない」とご自身の経験から語りました。

皆さんの声
以下のような感想をいただきました。
●「生徒が自分との対話や、仲間との対話を通じて、何に価値を見いだすのかを、またその選択が社会にどのようなインパクトを与えるのかを体験的に学ぶ機会になると思いました。自分の意思決定が周囲や将来に与え影響が可視化されると、行動にも変容が期待できると思いました」(高校教員)
●「探究授業の面白さや大切さに気付けたし、先生方の生の声を聞くことができた」(大学生)
●「非常に興味深くプログラムを体験させていただきました。実際の教育現場での課題感もお聞きできて勉強になりました」(一般企業)
まとめ
今回のイベントは学校の先生方だけでなく、多様な分野からご参加いただけたことで、学校現場の実情を踏まえつつ、金融経済教育の重要性について深く掘り下げて議論する貴重な機会となりました。
参加者全員が共通して抱いていたのは、「これからの時代を生きる生徒たちに、自ら選択する力を身につけてほしい」という強い願いです。
今後も、このようなイベントや共同開発した金融経済教育プログラム「お金の力-CHOICE-Digital」を通じて、より多くの生徒たちがお金について自ら考え選択する経験ができる機会を増やしてまいります。そしてこの学びが、これからの社会を「生き抜く力」を育む一助となることを願っています。

参加者が体験した金融経済教育プログラム「お金の力-CHOICE-Digital」のご紹介
「お金の力-CHOICE-Digital」ご紹介ページ(三菱UFJフィナンシャル・グループ公式サイト):https://manebiya.mufg.jp/programs/p22
「お金の力-CHOICE-Digital」ご紹介動画)三菱UFJモルガン・スタンレー証券公式YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=7my4a4bXFcc
■ナレッジカフェとは
「ナレッジカフェ」とは、教育に関わる方々にさまざまな出会いを提供する場として教育と探求社 大阪営業所が定期的に開催しているイベントです。答えのないテーマに対してゲストや参加者が共に語り合うことで生まれる学びを大切にしています。
■本プログラムに関するお問い合わせ
教育と探求社大阪営業所担当 (osaka@eduq.jp)
実施お申込みフォーム:https://forms.gle/9humVxXazTTc7WVq9