【開催報告】2023年度コーポレートアクセスに参画されたLINEヤフーが、企業賞を受賞した2チームと「未来の対話」企画を開催
2023年度もクエストエデュケーションに関わるすべての中高生たち、学校、企業、そして伴走してきた弊社にとって、探究の集大成となる「クエストカップ2024 全国大会」が、2月に3日間にわたり開催されました。
今大会は5部門8プログラムが設けられ、その中で取り組む生徒数が最も多い企業探究部門「コーポレートアクセス」では、2023年度は業界を牽引する13社に参画いただき、課題に取り組む生徒たちに1年を通して伴走してきました。
今回、参画企業の1つであるLINEヤフーが、企業賞と準企業賞を勝ち取った2チームを招き、執行役員2名とのリアルでの対話を通じて、“今後の人生を自分のチカラで切り開くためのヒント”を提供する「未来の対話」企画を開催されましたので、その様子をご報告します。
「未来はきっと明るい!」そう感じさせた全国大会を超えていく熱量の2チームの発表
LINEヤフーでCSRをご担当されている竹安様からご挨拶と開催趣旨の説明をいただき、企業賞を受賞した生徒たちとLINEヤフーの参加者双方の自己紹介を行いました。その後、準企業賞のアレセイア湘南高等学校「春ヲ見ル」チーム、企業賞の聖心学園中等教育学校「布団が吹っ飛んだ!!」チームの順で、サステナビリティ推進統括 執行役員 西田様、マーケティングプラットフォーム統括 執行役員 齋藤様へ向けて企画を発表しました。
◇準企業賞 アレセイア湘南高等学校「春ヲ見ル」チームの発表
世界中に『こころおどる』が連鎖する未来のネットサービスアプリ「クリエイターズ」の企画提案。「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」の良い点だけでなく問題点や、SNSによるメンタルヘルスへの影響を伝え、多様な価値観を知ることの大切さ、他人の評価に囚われない自己理解の促進が大切だとプレゼン。そして、さまざまな個性を持った自分たち一人ひとりの行動からこれからの未来が創られていくと伝えました。
他人との比較や承認欲求のために自己評価や自尊心が低下する可能性があり、SNS がメンタルへ悪影響を及ぼしているという彼女たちの問題意識は、今のティーンがおかれているリアルを感じることができました。
プレゼン内容と相まった明るくハキハキとした発表は、未来が春の光に包まれるであろうことを想像できるような温かい気持ちにさせてくれました。
◇企業賞 聖心学園中等教育学校「布団が吹っ飛んだ!!」チームの発表
人間は新しい未知のものに対してどのような行動を取るのか、まず赤ちゃんの行動を例に出し、人間の本能的な行動をわかりやすく紹介したうえで、私たち人間が未知なものを体験する『こころおどる』瞬間の実現と連鎖のためには「触覚」が非常に重要であることをプレゼン。そして「触覚」が果たす役割を最大限に活用すれば、ネットサービスの可能性を限りなく広げることができるという期待のもと、インターネットの世界に「触れる」体験をもたらす触覚スーツ「ToucH」を企画提案しました。
スーツはただの服では終わらず、温度調節機能付きで、デジタル空間の風を感じたり、太陽の温もりさえも体感可能。そして、モノクロのスライドが視覚を刺激し、デジタル世界の「触れる」体験を実現します。「触覚」が弱い今のネット環境に革命をもたらし、感覚を刺激する未来型サービスの始まりを期待させました。
グランプリも受賞したチームワーク抜群の力強いプレゼンは今回も健在。よりパワーアップしたようにも感じました。
発表を終えて、LINEヤフー 西田様、齋藤様からの講評「みなさんの作っていく未来が楽しみ!」
◇アレセイア湘南高等学校「春ヲ見ル」チーム
(西田様)
インターネットはいつでもどこでも安く使えるという便利なもの。光が強いほど影も濃くなるように、便利であればあるほど悪用もされてしまう。「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」は影の部分。それらを禁止しよう!ではなく、新しいSNSサービスで影の部分を凌駕しようとする提案が素晴らしい。私たちのヒントにもなりました。
(齋藤様)
現在のSNSの課題をよくまとめているなと思いました。みなさんが日常感じている課題も多くあるのでしょう。社会をより楽しいものにするはずだったSNSが、社会の暗部が増幅される場所になってしまっている課題に対して、もっと楽しく人がつながりあえる場所をと、丁寧に向き合って考えた提案でした。SNSにとって大事なのは、みなさんのような若く善意を持った人たちの感性。大人の話す言葉よりも、時には自分たちの感性を信じて創りたい世界を創っていって欲しいと思います。
◇聖心学園中等教育学校「布団が吹っ飛んだ!!」チーム
(西田様)
プレゼンテーションをエンターテイメントに昇華し、その中でしっかりとポイントを伝えられていて聞き手は引き込まれました。ネットは文字情報から始まり、写真、動画と徐々に流通する情報を拡張してきました。きっとこの先は五感、例えば、におい、味、触感がどう置き換えられるかという世界になるでしょう。提案してくれた世界はきっと将来起こりうること。そしてそれらをどうマネタイズしていくかが問われるが、今回は3つのポイントからお金儲けにつながることも提案できていたことが素晴らしかったです。
(齋藤様)
テーマである「こころおどる」の解釈から、まさに「こんなことできたらいいな!」の驚きがある未来サービスの提案だったと思います。UXからサービスを考えるのは良いアプローチ。言語や数値に置き換えずにコミュニケーションをとるためのデバイス、という観点では、言葉に表しづらい感覚以外の観点でも、国や言語を超えたコミュニケーションでも役立つかもしれません。プレゼンテーションも勢いがあって素晴らしかったです。
「未来の対話」企業賞の聖心学園中等教育学校「布団が吹っ飛んだ!!」チームの様子
クエストカップ全国大会に向けて企画を練り上げる過程で「乗り越えたなと思ったこと」を題材に、参加生徒たちと西田様、齋藤様との対話を行いました。リラックスした雰囲気の中、物怖じしない生徒たちからの素直な質問が多く投げかけられました。以下に一部ですが印象に残ったやりとりをご紹介します。
聖心学園中等教育学校「布団が吹っ飛んだ!!」チーム
生徒さん:「一年間、LINEヤフーの社員さんと関わってきて、いつも雰囲気がアットホームで、空気感がよくて、温かい人が多くて、僕就職したいんですけど、どうしたら内定もらえますか?」 (一同大爆笑)
LINEヤフー:「入社のルートって大学を卒業してからという一般的なものと、他の会社での経験を持って中途入社するパターン、大きく分けてこの2つがあると思います。あと、学生インターンからという場合もありますね。」
「何より自分にとっての武器を身につけてきて欲しい。あなたらしいモノがあって、それがその会社にとってどう生きるのか語れるようにしてください。そのためにはできるだけ人がやっていないこと、人が嫌がることも含めて率先してやってみること。」
「ある領域で一番を目指す方法もありますが、自分の経験や得意をかけ合わせることで、気づいたら唯一の特徴を持っていた!ということもあります。自分の好きなことだけやっていたらかけ合わせが生まれにくいので、自分にとって遠いこともやってみる。それにどう前向きに取り組めるかで変わってくると思います。」
など、充実した対話が繰り広げられました。
参加された生徒たちの更なる飛躍、そして人生で壁や困難に直面しても乗り越えていける力を得るきっかけになったのではないかと思います。
教育と探求社より
LINEヤフー執行役員のお二人との会話は、生徒たちの1年間の探究をより深堀し、将来自分たちが働く時のイメージが膨らんだのではと感じました。探究学習はもちろん、社会に出て働く時にも大切に考えていかなくてはならないことについて有意義な対話が繰り広げられました。
2つのチームそれぞれとても個性的だったことから、質問が深まり、執行役員のお二人のロジカルながらも温かみのある言葉がとても良い場を作っていました。そして2つのチームの生徒同士の交流も見ていて面白く、とてもほほえましいものでした。
生徒たちの未来を照らす大きな機会となり、1年間の探究活動の達成感を私たちも改めて肌で感じることができました。
取材日:2024年3月29日
※本記事の内容は取材日時点のものです