
教育と探求社(以下、探求社)では、様々な人たちがそれぞれの役割を持って働いています。いったいどのような人たちがどのような想いを持って、どんなお仕事をしているのでしょうか?
今回は、人材会社の法人営業から転職し、2021年に探求社に入社した創発部の蛭田 麻里子(ひるた まりこ)さんに、入社のきっかけやお仕事の様子をうかがいました。
社会の面白さを、教育で伝えたい
創発部では、企業とやりとりをしながら、教育や次世代貢献を目的としたプログラムの企画立案、プロジェクトの推進を行っています。
ー蛭田さんは、どのようなきっかけで教育と探求社に入社されたのですか?
実は、もともと教育に興味をもっていたんです。
昔から中学校の数学の先生になりたくて、大学では教員免許を取得していました。ただ、就職するタイミングで「もっといろんな世界を見てみたい」と思い、学校の先生になるのをやめて民間の人材会社に勤めることにしたのです。
人材会社では、IT業界の企業担当として、企業に求人のヒアリングや人材の紹介を行っていました。おかげさまで、いろいろな企業を知ることができたと思います。
その後、第1子の育休中に夫の赴任でシンガポールへ移住、在星中に第2子も授かり、2021年に日本に帰国しました。帰国後落ち着いて復職を考えていた中で、「新しいことを始めよう」と思い、教育に関われるお仕事を探していて、教育と探求社に出会いました。
ーいろいろな企業を見てきて、また教育に関わりたいと思ったのはなぜですか?
そうですね、やはり昔から教育への想いがありました。また、以前は「学校の外の世界を知りたい」と民間企業に就職したけれど、そうして外に出たことで「教育の中に企業をいれたい!」と教育でやりたいことが明確になりました。
私は社会人を経験して、たくさんの企業の方々とお話して「世の中にはこんなにたくさんの会社があるんだ」「こんなに面白い仕事、やりがいある仕事があるんだ」と、とてもわくわくしたんです!
学生の頃は、当たり前ですが、テレビCMで見るような会社しか知らなくて、知っているのは大企業やBtoC企業ばかり。でも実はそれを支えている中小企業が、日本にはたくさんあるんです。
それを今の子どもたちが知ってくれたら、キャリア選択の幅も広がるんじゃないかなと思っています。中小企業で、普段名前を聞いたことがない会社が、世界トップだったりするんですよ!
ー学校と社会をもっとつなげたいということですね。
そうです。あとは学校で授業を受けていると「こんなの社会に出たとき何の役に立つの?」と思うこともありますよね。たとえば数学で言うと、「sin, cos, tanなんて一生使わないんじゃない?」みたいな。
でも、実際に世の中で使われているんですよ。モノづくりのエンジニアや、建築系の方々も使っているそうです。「授業で習うことが、社会とつながっているんだ!」とわかったら、もっと楽しく学べるんじゃないかなと思っています。
ですので、いろいろな企業の方とお話しして、企業の知見を学校に提供するプログラムとしてどのように落とし込めるかを考えていくのは、私にとってとてもやりがいのある仕事だと思いました。
企業や自治体の「やりたい」を叶える

ー創発部では、どのようなお仕事をされているのですか?
企業や自治体からの教育関連のニーズにあわせて、教育と探求社のリソースを活かしたサービスを提案・実行しています。
たとえば、企業から「社会貢献(CSR)活動の一環として、次世代育成に携わりたい」という要望をいただいた場合、まずは企業のリソースや実現したいことをヒアリングし、どんな方法があるか、なにができるかを考えて提案します。
そして具体的に「中高生向けに企業オリジナルのプログラムを届けよう」と決まったら、そこからプロジェクトの実行、運用をしていくのも私たち創発部のお仕事です。オリジナルプログラムの制作、学校との調整、企業の社員さんが中高生に授業をするための研修など、企業がやりたかったことを実現できるように包括的にサポートします。
ー幅が広いお仕事ですね。前職の法人営業と比較して、いかがでしょうか?
人材会社の法人営業でも無形商材を取り扱っており、課題ヒアリング、それに対する提案をしてきたので、その部分では前職の経験が活きていると思います。
ただ、実際にやることが決まってからは、プロジェクトの推進やマネジメントをしていくことになるので、そこは私がこれまで経験してきた法人営業とは違うところですね。
「案件を受注したらすぐ納品して終わり」ではなく、提案して契約いただいてからもまだまだやることがあります。開発して実証授業して、最終的に納品まで。それが一年単位になっていて、ひとつひとつの案件が大きいなと思います。
金融経済教育プログラム 株の力の授業風景
ープロジェクトとしては、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
そうですね、たとえば企業や自治体からいただくニーズとして、大学が地元の中高生に向けてアントレプレナーシップのプログラムを提供したい、金融企業が中高生に向けて経済教育をやっていきたい、損害保険会社がシニアの方々に向けたWell-beingプログラムをしたい、といったものがあります。
それらのニーズに応えるため、教育と探求社のリソースを活用したプログラムの開発やイベントの運営などをしています。
また、企業から社員の人材研修を依頼されたり、チームビルディングのイベントを実施することもありますよ。
ーさまざまなプロジェクトがありますが、なぜ教育と探求社に依頼いただいているのでしょうか?
やはり他との違いを感じていただけているのだと思います。
たとえば、人材研修でも、一般的なマネジメント研修のような「スキル獲得型」ではなく、探究学習のエッセンスが入った「人間としての成長」に重きをおいたプログラムを作成しています。
自分自身を探求し、深いレベルで見つめなおすことで、自分との新しい出会いや再発見があり、それが次の業務へのモチベーションにつながったり、周りの人に共有していくことで一緒に仕事をする仲間とのチームビルディングができます。また、いろいろな価値観を受け入れることによって、自分の固定観念を手放し、柔軟性を高め、視野を広げることもできます。
成人発達理論において、成長には「水平的成長(知識・スキル・専門性の獲得)」と「垂直的成長(人間としての器の成長)」の2つがあるとされていますが、まさにその垂直的成長に取り組むものです。
「これができるようになった」と言語化するのが難しいところでもありますが、やはり人間としての成長や変化を実際に感じられること、そこを魅力に感じていただけているのではないかと思います。
学校の世界を広げるきっかけになる
ーお仕事をしていて、大変だったことはありますか?
はじめのころは、「決まった仕事がない」ということに戸惑いました。持ってるリソースを使って、自分たちで作り出していかなければならない。
また、教育と探求社が提供できるものが何なのか、伝えるのが難しいということも感じました。「これをしたら、こんな力が身につきます」というものではないから、言葉にすると漠然としてしまうんです。体験しないと良さがわからないし、伝えられない。
ーどのように乗り越えられたのでしょうか。
最初は、とにかく自分自身が体験してみることに注力しました。学校に行ってみたり、プログラムを体験してみたり、企業の方が学校に行くときに一緒に行かせていただいたり。
それから、同僚の営業やプロジェクトについていって、「こんな感じなのだな」とわかっていきました。そうしたことを繰り返して、徐々に一人でできるようになってきたと思います。
ー実際にお仕事をしてみて、いかがでしょうか?
やはり、生徒たちの学びを感じられるところにとてもやりがいを感じています。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の「株の力」という金融教育プログラムがあるのですが、そこでは生徒たちが株について学び、最終的なアウトプットとして、「株の力を宣伝する新聞広告」を作成するんですね。
生徒が作成した「株の力を宣伝する新聞広告」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の講師の方々も感じられていると思うのですが、そこでは大人が想像しないような視点が出てきて、子どもたちの成長も感じられるし、大人たちも刺激を受けるし、とても面白いんです。
「株の力」も知識を伝授するだけのものではなく、探究型になっています。生徒たちにきっかけを与えて、そこから探求して何かを見つけていくプログラムなので、「ちょっとしたきっかけがあるだけで、生徒たちはここまで考えられるんだな」と驚かされます。やっていて、いいなって感じる瞬間ですね。
ー心を動かされる瞬間がたくさんあるのですね。
そうですね。生徒たちだけではなく、先生方にも感動させられることがあるんですよ。
実は、ずっと教員をされていた中学校の先生が、「株の力」を担当されて「自分の世界が広がった、もっと学びたいと思った」と、今大学院に通っているそうなんです。すごいですよね。
生徒たちはもちろん、先生たちの世界も広がるきっかけになれたら嬉しいなと思っています。
一緒にゼロイチを楽しみましょう!

ー蛭田さんがこれから、この会社でやってみようと目指していることはありますか?
もともと数学科だったので、やはり数学の授業に絡めるオリジナルプログラムを作りたいな、という想いがあります。
数学も、結構社会で使われてるんですよ。エクセルだって数学をやっていたら計算式でもっと便利に使えたり、保険会社の保険料だって確率で計算されてたり。本当にたくさん日常に隠れてると思うんです。
数学は「計算が面倒」「公式覚えるのが嫌」という気持ちもあるかもしれないけれど、「これを知りたい、そのために数学って使えるじゃん!」という体験を子どもたちができたら面白いと思っています。
ー最後に、これから一緒に働きたい方へのメッセージをお願いします!
創発部では学校と企業をつなぐので、関わる人の立場もいろいろです。だからこそいろんな人たちと協力して、相手のことを考えながらバランスを取っていくことがとても大事。
ひとりでできることは限られているので、他の人たちと積極的にコミュニケーションをとって協力しながら一緒に物事を進めることを楽しめる方にきていただけたらいいなと思います。
ゼロからイチを生み出すのを、私たちと一緒に楽しんでいきましょう!