2018年02月15日

「教育と探求」Vol.76 2017/11/14 「邪気」と「無邪気」

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

ベトナムの大学生と日本企業をつなぐ教育
イベント「クエストキャリアinハノイ」が
去る11月5日(日)成功裏に終わりました。

日本企業で働く企業人が自社の理念や事業内容、
働くことの意義をベトナムの大学生に講義で伝え、
後半では、各社から大学生に向けて課題が出され、
チームでこれに取り組みます。

今年で3回目となるこのイベントで、
毎回感じることがあります。それは、ベトナムの
若い人たちの思いの純度ということです。

自分たちが本当に実現したいことをみつけようと、
丹念に調べ、楽しみながらも真剣に話し合い、
短い時間でプレゼンテーションをつくり上げ、
日本語で必死に伝えきろうとする、彼ら、
彼女らの思いの在り方、生きる姿勢に毎回、
胸打たれます。そこには、どこかにある正解を
探そうとか、失敗したら格好悪い、
といった邪念は一切感じられません。

邪念がないことを「無邪気」といいます。
「邪気」とは、人の道に外れるような悪い考えや、
人を呪うような恐ろしい気持ちだけでなく、
うまくやろうという小賢しさ、損得ばかりを
考える計算高さ、失敗を過剰に恐れる恐怖心も
「邪気」のひとつだと私は考えています。

私たち日本人は、この数十年間、
「邪気」に苛まれているのではないでしょうか?

相次ぐ大企業の不祥事、低迷する経済、
一強主義、大国主義吹き荒れる世界で
立ちすくむ市民主体の新しい社会。
これらは皆「邪気」の産物だと思うのです。

この課題意識にど真ん中から答えるセミナーに、
参加する機会がありました。

「VUCA時代に変化を恐れない組織の
あり方とは~人と組織の発達という観点から
考える~」ハーバード大学教育大学院教授
ロバート・キーガン氏をメインスピーカーに、
古河電工の小林社長、サイボウズの青野社長が
登壇し、自社の事例について語りました。

社員の離職率を改善しようと100人100通りの
働き方を認める施策を導入したサイボウズでは、
いつ、だれが、どこで仕事をしているのか、
もはや管理のしようがない。頼むは社員の正直さ
のみ。だから「正直であること」を最も優先度の
高い行動指針としているといいます。もし社員が
寝坊をして遅刻をしても、電車が云々などと、
小賢しい言い訳をしてはいけない。青野社長曰く、
「大事な会議に寝坊するのはアホだけど、
それでも、ウソよりはアホの方がいい。
正直に話せば、寝坊を防ぐソリューションが
仲間から次々に出てくる。そして大事なことは、
見え透いたウソは仲間の信頼とモチベーションを
下げてしまうということだ」

古河電工の小林社長の話は、あまりにも革新的で
驚きました。創業130年、社員5万人、
売上高8千億円を超える老舗企業の15代目の
社長に今年就任したばかりの小林氏。
これまでのワンマンなやり方では、この変化の
激しい時代を生き抜くことはできないと判断。
自ら学び、成長し続ける組織になろうと
キーガン博士の門を叩きました。

導入した施策のひとつはこんなふうです。
役員会の終わりに、必ずリフレクションの
時間をもうける。その中で、今日の会議に
それぞれがどんな姿勢、在り方で参加して
いたかを互いにフィードバックをする。
「今日の発言内容は取締役としてではなくて、
一事業部長としての発言にしか聞こえなかった」
など、相手が社長であろうがだれであろうが、
歯に衣着せぬ本音の指摘が次々に出てくる
といいます。お腹の中にあることは全部
出し合い、言われた人は真摯にそれを受け止め、
改善に取り組む。会議が終わったときには
皆すっきりと心の健全度が向上し、自然と
やる気や創造性がわいてくるとのこと。

キーガン博士は自ら学び成長する組織の要諦を
近著「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」で
まとめています。その一説を紹介します。

・・・

実は、組織に属しているほとんどの人が、
本来の仕事とは別の「もう一つの仕事」に
精を出している。お金ももらえないのに、
その仕事は、いたるところで発生している。
駆け引きをし、欠点を隠し、不安を隠し、
限界を隠す。自分を隠すことにいそしんで
いるのだ。思うに、組織でこれほど無駄を
生んでいる要素はほかにない。もっと
価値あることにエネルギーを費やすべき
ではないのか?この無駄が生み出す弊害は
はっきりしている。組織とそこで働く人たちが
十分潜在能力を発揮できなくなってしまう、
ということだ。その損失はあまりに大きい。

・・・

私が、ベトナムの若者に見たものは、
私たちが歩んできた過去ではなく、
私たちがこれから向かうべき未来ではないのか。

そう思えてきました。

教育と探求社
宮地勘司

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教育と探求社からのお知らせ
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(1)「Quest Career in HaNoi 2017」大盛況のうちに開催
11月5日(日)にベトナム・ハノイ大学にてベトナムの大学生を対象に
教育イベント「第3回Quest Career in HaNoi 2017」を開催いたしました。
今年度は、イノアックコーポレーション、エースコックベトナム、
クレディセゾン、大和ハウス工業という、ベトナム現地に進出している
日系企業4社の社員が講師として、現地学生に熱い講義を繰り広げました。

▼開催速報はこちら
http://eduq.jp/eduq_news/hanoi_1707/

▼現地放送メディア(動画リンク)
VTV6 (ベトナム国営放送/ベトナム語)
https://youtu.be/yvrtV1fbsz8

Vietnam New Agency (国営通信社/ベトナム語)
https://youtu.be/T50QVooZKwk

VTC10 (国営放送/ベトナム語・英語サブ)
https://youtu.be/f0YH6MAs6yg

Hanoi TV (ハノイローカル/ベトナム語)
https://youtu.be/6b90fhC_xFU

(2)教室で体験するインターンシップ・プログラム 「『株の力』 NAGOYA」初開催
三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券と教育と探求社とが共同で開発した全 5 コマの
インターンシップ・プログラム「株の力」を 1 日で体験できるように構成したプログラムが
この度、名古屋に初お目見えです。
参加者をまだまだ募集しておりますので、株や金融、また広告などに興味のある
生徒のみなさんのご参加をお待ちしています。

▼日時・場所
日時:11月23日(祝)10:30~17:30
場所:名城大学ナゴヤドーム前キャンパス西館 レセプションホール
参加費:無料(※会場までの交通費はご負担ください)
対象:全国の中学生・高校生
お問い合わせ先:co@eduq.jp(株の力 NAGOYA 担当者まで)

▼参加申し込みURL
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdF4JayIwIdRWK0_BGYii7G5zvhfFhmugdbfLx6yaEYZeQT5g/viewform

▼株の力について
http://eduq.jp/education/stockmarket/

(3)「クエストカップ2018 全国大会」の公式サイト公開!
今年のテーマは『よくあそべ』。
クエストに取り組む150校 約2万人の中高生たちが、
時のたつのも忘れ、夢中になって追いもとめた探求の成果を社会に向けて発信します。
合わせて一般参観の申し込みも開始しました。

▼日時・場所
《企業探究コース「コーポレートアクセス」部門》
日時:2018年2月24日(土)10:00~17:15(リハーサル8:20~)
会場:立教大学 池袋キャンパス(東京都豊島区西池袋3-34-1)

《社会課題探究コース「ソーシャルチェンジ」部門》
日時:2018年2月24日(土)10:00~17:15(リハーサル10:50~)
会場:立教大学 池袋キャンパス(東京都豊島区西池袋3-34-1)

《進路探究コース「人物ドキュメンタリー」部門・「自分史」部門》
日時:2018年2月25日(日)12:20~16:30(リハーサル10:00~)
会場:紀尾井小ホール(東京都千代田区紀尾井町6-5)

▼大会WEB
http://questcup.jp/2018/

(4)メディア掲載情報
来年度より、武蔵野大学附属高等学校として生まれ変わる千代田女学園高等学校の多様な取組みの取材の中で、「クエストエデュケーション 企業探究コース」について紹介していただきました!
▼リセマム
https://s.resemom.jp/article/2017/11/10/41291.html



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