2018年02月15日

「教育と探求」Vol.74 2017/9/12 「人づくり革命」について

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

日本政府は、「人づくり革命」の実現に向けて、
先週、およそ30人の職員からなる
「人生100年時代構想推進室」を設置しました。

幼児教育や高等教育の無償化、
新卒一括採用の見直し、就職した後などに
再び学び直すリカレント教育の充実などを
テーマに、財源も含めた制度設計の議論を
始めるといいます。

「革命」という、政治体制の変更や政権交代を
イメージすることばを政府自ら使うところに、
違和感がなくもないですが、この際、ネーミングの
善し悪しはよけておいて、私はこの方針を素直に
評価したいと思います。日本にとっての最大の
資産である「人」に投資をする、という明確な
意思表示だと受け止めたからです。

日本の公的教育支出は対GDP比で3.2%。(2013年)
比較可能な33カ国の中で、最下位のハンガリーに
次いで32位です。それを埋めるために、日本は、
他国に比べて家計がより多くの教育費を負担しています。
つまり、経済的に安定している家庭の子供には
多くの教育機会が与えられ、厳しい経済状況の
家庭は教育費を負担することが難しく、
経済格差が教育格差を拡大させる構造となっています。

こんな状況を一刻も早く打破し、
家庭の収入格差に囚われることなく、全ての人に
学習機会が与えられ、何度でもやり直し、
学び直しをしながら、自らの生産性を高めていく。
日本の政府がその方向に舵を切ったのだとしたら、
とても素晴らしいことだと思います。

この政策が着実に実現していったら、以下の効用が
得られると私は考えています。

1.人ひとりの生産性が高まり、経済が活性化し
税収が高まる

2.子供の教育費の家計負担が少なくなれば、
少子化に歯止めがかかる

3.幼児教育が無償になれば、女性の社会進出が
促進される

4.経済的な理由で大学進学をあきらめていた
人たちに道が開けることで、個人の収入増と
学術研究の充実に与する

5.高齢者が自らの能力スキルをアップデイト
しながら、いくつになっても元気に働ける

6.上記のことが起こると、国民一人ひとりの
自尊感情が向上し、幸福感が増す

今回の政策の中に、労働生産性を高め、労働供給を
拡大させて経済成長力を高める「右派的」施策と
教育の無償化や社会保障制度の改革など、
機会均等、弱者救済の「左派的」な施策が
混在しているという指摘も一部にありました。

私はそのこと自体がとても良いと思いました。
「経済成長」と「機会均等、弱者救済」は
これまでは別の文脈で語られてきたかもしれません。
しかし、両者は両立できる。いや、むしろ
「弱者救済、機会均等」こそが、社会の多様性を
生みだし、イノベーションにつながるのです。

後は政策の具体論です。
政治家や官僚たちのせめぎ合いで骨抜きにされたり、
人材会社や教育事業者の食い物にされたりすることなく
実効あるものになっていくことを注意深く見守りたいと
思っています。

教育と探求社
宮地勘司

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4月のリリースから、すでに30校で実践されています。
多くの方のご利用、お待ちしております。

(2)自治体との地域連携での取り組み
「ソーシャルチェンジ in NAGASHIMA」(8/21,22)、
「ソーシャルチェンジ in MIYAZAKI」(8/28,29)大盛況で終了。

鹿児島県長島町、宮崎県宮崎市にて、県内の中学生~大人までを
対象としたサマースクール形式での「ソーシャルチェンジ 」を
開催いたしました。

●メディア掲載情報

(日経新聞九州版)7月15日(土)掲載されました。

(月刊私塾界)http://www.shijyukukai.jp/2017/06/13868

(時事通信社iJAMP)https://www.jiji.com/sp/article?k=2017082900843&g=jfn

●開催報告プレスリリース
http://eduq.jp/eduq_news/quesut_0906/

教育と探求社では地域と連携した取り組みも行っております。
ご関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、お知らせください。

(3)「探求フェスタ」(8/19)を開催しました。
2020 年度の大学入試改革を目前に、アクティブ・ラーニングへの注目が
集まる中、教育と探求社では、今だからこそ学びの本質を全国の先生方と
一緒に考える機会として「探求フェスタ」を大阪大和大学にて初開催いた
しました。

▼開催当日レポート
http://eduq.jp/eduq_news/quest_plyfull/

(4)【PR協力】「人権シンポジウムin東京」のご案内
法務省、全国人権擁護委員連合会、東京法務局などが主催する「震災と子
どもの人権」をテーマにしたシンポジウムが、10月に東京・時事通信ホ
ールにて開催されます。被災地の復興が進む一方、県外非難した子どもた
ちへのいじめなどが大きな社会問題になっています。人権的視点から被災
地への支援のあり方を模索します。多くの先生方のご参加をお待ちしてお
ります。

※入場無料
※事前申し込み制/先着順
※手話通訳・パソコン要約筆記あり

【日時】
2017年10月28日(土)13:30~17:00(開場12:30)

【会場】
時事通信ホール(東京都中央区銀座5-15-8 時事通信ビル2階)
http://www.jiji.com/hall/access.html

【お申込み】
下記サイトよりお申込み下さい
http://www.jinken2017.jp/tokyo/

【お問い合わせ先】
公益財団法人人権教育啓発推進センター
「人権シンポジウムin東京」事務局
TEL 03-5777-1802



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