2018年02月15日

「教育と探求」Vol.69 2017/4/11 少年院の視察

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

先日、少年院を視察する機会がありました。
育て上げネットさんというNPOのコーディネイトで
茨城農芸学院という少年院を訪問しました。
12歳から23歳までの男子160人ほどが、
職業教育や訓練を受けている施設です。

建物の中に入ると、事前に私が持っていたイメージとは
大きく異なり、穏やかな学び舎の風情が広がっていました。
確かに窓には鉄格子が入っているものの、体育館、教室、
グラウンドなど、普通の学校の風景と
ほとんど変わりがありません。

だれもいない教室に入り壁を見ると、
丁寧に、しかし力強く書かれた習字の展示、
色紙を細かくちぎって描き出された鮮やかな切り絵、
心情が深く染み入る俳句がしたためられた短冊。
どれもがすばらしく、穏やかで、心が整っていないと
絶対につくれないようなものだと感じました。

別の教室では少年たちがパソコンのトレーニングに
励んでいました。ぐりぐりの坊主頭の少年たちが
熱心にキーボードを打ち込んでいます。
ふざける生徒はひとりもおらず、
時間内に何文字打ち込めるか、真剣そのものです。

校舎の外に目をやると、ブルトーザーやクレーン車、
溶接工場や造園場などの施設も充実しています。
この日は、院内で大型特殊免許の学科試験も
あるようです。退院後、仕事に困ることのないように
丁寧な職業教育が行なわれているのです。

院内を一通り見学した後、所長の話をうかがいました。
ニュースを見ていると、少年犯罪はより過激になり、
数も増えている印象を持ちますが、
実際には、発生数も、発生率も大幅に減っており、
犯罪の凶悪性も低下しているそうです。

この少年院にも、つい万引きが重なってしまったり、
知的な判断力が低いことにつけこまれて
振込め詐欺のお金の回収係をやらされたり、など
凶悪性の低い少年が多く、見た感じも優しそうな
普通の少年ばかりです。

そんな彼らが、ここで自らを見つめなおし、手に職をつけ、
もう二度とここには戻って来るまいと固く誓い、
退院していくわけです。
しかし、社会はそんな風には少年たちを受け入れては
くれないことが多いといいます。
職場で排除され、せっかく出ていったその道を
また同じように戻ってくるケースも少なくないといいます。

(私が今回少年院を訪問するきっかけとなった方の
ブログを紹介します。http://araic.net/syounenninn

この少年たちに、なんとかクエストをやってもらえないか。
そう思いました。自分で考えて、思いっきり意見をぶつけて、
仲間のことも受け入れて。
そんな経験ができたら、自分のことを少しでも
好きになれるかもしれません。
この世に自分の居場所はあると、
信じることができるかもしれません。
何かを少しでも動かす力があることを知れば、
その後の人生が変わるかもしれません。

現在、院内では少年同士の対話が認められてなくて、
クエストの実現には少し時間がかかりそうです。
しかし、あきらめずに私たちにできることの
可能性を見つめていきたいと思っています。

教育と探求社
宮地勘司

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