2016年08月09日
日本の18歳と19歳に新たに選挙権が与えられて、
この夏、ふたつの大きな選挙を経験しました。
参院選の投票率は、18歳が51%、19歳が40%と
両者の間に10ポイント以上の開きが出ました。
主権者教育を受ける機会の多かった高校生と、
すでに大学生や社会人となっていて、その機会が
少なかった19歳との差が明確に出たかたちです。
学校や様々な教育機関が取り組んだ主権者教育は、
一定の成果を上げたと言ってもよいと思います。
しかし、イベント的な啓蒙活動だけでは若者の
投票率を今後も伸ばし続けることはむずかしく、
次回以降の選挙では18歳の投票率が低下すると
予想する専門家もいます。
選挙の制度や仕組みを学ぶだけに止まらず、
自分たちの意見や意思を政治に反映させることの
本質的な意義を学ぶことが大切です。
教育が政治の進化のために貢献できることが
あるはずです。
一昨年、デンマークを教育視察で訪れました。
デンマークの国政選挙の投票率は平均で90%
未だかつて8割を切ったことがないといいます。
そして、それを支えているのは教育だと感じました。
訪れた森の幼稚園の園長は、こう語ってくれました。
「わらの山を登ったり、つるにつかまりジャンプしたり、
子供たちは、毎日少しずつチャレンジして、失敗と成功の
体験から学んでいきます。自分でやってみないと
何も学べないのです」
「そして、それぞれが互いの得意なこと、好きなことを知り、
認め合い、譲り合い、葛藤を乗り越えて関係性をつくっていく。
子供たちはそうやってこの場で民主主義を学んでいるのです」
また、コペンハーゲンの街中にある自由高校では
生徒の主体的な学校運営が徹底していました。
たくさんの自由な落書きが施された校舎の中で、
重要なことはすべて、週に1回の生徒集会で話し合います。
そして驚くべき事に、次期校長をだれにするかについても、
先生も、生徒も、それぞれ一票ずつを持った投票で決める
といいます。
「責任を持たされるから関心も高まるし
前よりももっと学校や社会のことを大事に思うようになった」
生徒のことばが印象的でした。
今日本の社会には多くの課題があります。
そして、その課題は複雑化し、利害が対立し、絡み合い、
経済合理性や競争原理だけでは解決できません。
一人ひとりの市民が、自らの価値観や考え方に沿って
丁寧に話し合いを重ね、合意をつくり、
取り組んでいかなければなりません。
政治の役割がこれまで以上に重要となる社会が
すでにはじまっているのです。
大事なのは、「投票率」よりも「投票質」。
投票行動の基盤にある理念や考え方、生き方です。
私たちは政治をもっと進化させることができます。
そのために、教育が、もっとできることがあるはずです。
21世紀は、成熟した市民が中心となる社会です。
そこ向けて私たちにできるすべてのことに
取り組みたいと思っています。
教育と探求社
宮地勘司
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教育と探求社からのお知らせ
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(1)第2回CAミーティングを開催いたしました!
7月8日(金)富士通株式会社の汐留本社(東京都)にて、
第2回CA(協賛社)ミーティングを開催しました。
レポートをアップしましたので、よろしければご覧ください。
http://eduq.jp/eduq_news/camtg1607/
導入校のクエストに取り組む様子は下記URLからご覧いただけます。
https://www.facebook.com/questcup/
(2) 一般社団法人設立記念シンポジウム無事終了しました
7月23日(日)に、弊社が事務局を務める一般社団法人
ティーチャーズ・イニシアティブの設立記念シンポジウムを
開催いたしました。
おかげさまで、盛況のうちに無事終了することができました。
シンポジウムの様子の一部は、下記記事よりご覧いただけます。
http://www.yomiuri.co.jp/adv/economy/release/detail/00224704.html
なお、8月8日から開始する「21世紀ティーチャーズプログラム」の
ファンドレイジングを現在行っております。
是非、ご覧頂き、よろしければご協力いただけましたら幸いです。
http://japangiving.jp/p/4563
社団の活動はこちらをご覧ください。
https://www.facebook.com/teachersinitiative/