2020年02月12日

「教育と探求」Vol.103 2020/2/11 父との思い出

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

最近、25年前に他界した父親のことを
思い出す機会が増えてきました。

父は、第二次世界大戦の真っ只中、
長崎の貧しい漁師の家に生まれて、
学校へも行けず、早々に働き始めました。
野心は強く、なんとか貧しさから脱却しようと
キセルして(JRさんごめんなさい!)
東京までやってきて、次々と職を変えながら
働き続けました。

あるときは建築現場、あるときは調理場、
またあるときはくず鉄の山、そして遠洋漁業の船上。
自ら「100の仕事を持つ男」と名乗っていましたが
持ち前の器用さもあり、本当に様々な仕事をこなす
現場のリアルに強い人間でした。

20代の前半、その頃働いていた雲仙の温泉旅館が
倒産しそうになったのを中心となって再建し、
27歳の年には、長崎の平和記念像がある公園の前に
一軒の寿司屋を開業しました。
私が小学校に入る直前の頃です。

その後も家業は順調に伸び、多くの外食店を経営する
ようになりました。私が中学生になる頃には、
結婚式もあげられる5階建ての割烹ビルを建て、
まさに父は自分の夢を実現し、成功の中にいました。

そんなとき、私は、話があると父から呼び出されました。
おそらく私が中学2年生の頃です。
父いわく「思ったんだけどな、俺より、お前のほうが
賢いことに気がついた。だからな、今日、今から
おれは教育をやめる」

最初聞いた時、どういう意味かわかりませんでした。
学費や生活費を出してくれないということかと
ちょっと心配になりましたが、そうではありませんでした。

しかし、すぐに父親の意図することがわかり始めました。
何をやっても叱られることはなく、何においても
お前はどう思うんだと聞かれるようになりました。
小さい頃はかなり厳しく、すぐに手が飛んでくるような
父でしたから、その豹変ぶりには驚きました。

私も齢なりの悪さもいくつかしましたが、一切不問。
気持ち悪いほどでした。しかし、少し時が過ぎた頃から
本当にフラットな関係でいいんだと確信するようになり、
世の中の様々なことについて闊達に父と話しあうようになりました

「日本とアメリカの関係性はどのようにあるべきか」
「お金儲けと働く喜びはどちらが大事だろうか」
「地域の住人の思いを束ねてよりよい町にするためには」
「宗教とは人間にとって何なのか?哲学とは何が違うのか」

10代の私にとって、どの話も興奮し、知的好奇心を
掻き立てられ、自分の頭で考えさせられるテーマばかりでした。
父は学歴はありませんが、
自分が興味があることは徹底的に追求するタイプです。
読書家でもあり、何事も自分の頭で考えようとする人でした。
私は、思春期に社会に開かれた眼を
父との対話を通して培われたのだと今になって思います。

その後も父は、商売を成功させたり、失敗したりと
波乱万丈の人生を送り、53歳のときに急死してしまいます。
食道静脈瘤破裂でした。
あまりに若いと言う人もいますが、
私は、奔放に生き、自らの人生を全うした父自身は
自分の人生に満足しているに違いないと思っています。

父は生前、こんな言葉もよく言っていました。
「いいか、勘司。人生はな、
真っ白なキャンバスに好きな画材で、好きな色で、
自分の思い通りの絵を描くようなもの、そこには何の制約もない。
自分の心以外には」

思えば、父の考えや言葉や生き方が私の肥やしとなり
私が今ここにいるんだと思いました。

「主体的に生きる」ということと
「正解はない、自分でつくる」ということ。

若い頃はこのように表現する言葉も持たず、
それ以前に自分がそう生きている自覚すらなく、
人からはわがままだとか、マイペースなやつだとか
言われることもありました。
しかし、今は、主体性と創造性こそが、人がより良く
生きていくために本当に大事であることがよくわかります。

それが、私がクエストをはじめた理由の一つです。
すべての子どもたちが自らの殻を打ち破り、
ありのまま思いのままに学び、生きていってほしいという
願いを込めました。

今年のクエストカップは2月23日,24日の両日。
全国からエントリーの合った3,420チームの代表が
思い思いのプレゼンテーションを繰り広げます。
今年も、彼ら、彼女らの主体性と創造性が
存分に花開くさまを目撃したいと思います。

教育と探求社
宮地 勘司

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教育と探求社からのお知らせ
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(1)クエストカップ2020全国大会、
史上初、3,400作品以上のエントリーから
出場チームが決定!

厳正なる審査の結果、
大会に出場する162チームがついに決定しました。

▼出場チーム決定!
https://eduq.jp/questcup2020_team/

(2)2021新卒採用を開始しました。

教育と探求社は、
今年も新卒採用を行います。

周りに関心のある方がいらしたら
ぜひご紹介ください。
想いのある方と共に働けることを
楽しみにしています!

▼教育と探求社 2020新卒採用
https://eduq.jp/recruit/

(3)社員インタビューを掲載しました!

学校部の早崎は、職業体験や社会体験から起こる学びを
子どもたちにもっと広く日本中に届けたいと考え、
2019年に教育と探求社に入社。

現在は学校コーディネーターとして、
先生や生徒の学びに携わっています。

学校コーディネーターの仕事内容や魅力は何なのか?
2020年新卒入社予定の野田がインタビューを行い、レポートしました。

▼学校部 早崎 社員インタビュー
https://www.wantedly.com/companies/eduq/post_articles/206630

(4)衆議院議員小田原潔氏の主催する
「第75回小田原きよし政策勉強会」に、
代表取締役社長・宮地勘司が登壇いたしました。

どのようにすれば「主体的・対話的で深い学び」
「生きる力を育む教育」といわれるような、
実際に社会につながる創造的学びを学校で起こすことができるのか

探究学習プログラム「クエストエデュケーション」の取組みや、
クエストエデュケーションでの探求によって生徒たちや先生、
学校に起こっていることを、事例をまじえて紹介させていただきました。

▼「第75回小田原きよし政策勉強会」レポート
https://eduq.jp/seisaku_seminer/

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