【代表挨拶】教育と探求社の創業10年目を迎えて

みなさま、おかげさまで教育と探求社はこの11月26日で

創業10年目を迎えました。これも偏にみなさまの並々ならぬ

ご指導とご支援のおかげと、心より感謝致しております。

2003年、当時勤務していた日本経済新聞社の中に教育開発室

という新しい部署を立ち上げ、社会の中にある多様な

情報資源を教育に活用できるという仮説のもと、

学校で学ぶ「生きた社会科の授業」の開発に取り組み始めました。

当時は「キャリア教育」という言葉も今ほどは普及しておらず、

試行錯誤を重ねる中で、生徒が自ら学ぶ探求型の学習スタイルや、

多様な個性が相互に刺激し合って起こる創発的な学びが、

学校で実践されることに大きな意義と可能性を感じました。

2004年11月26日、17年間勤務した日本経済新聞社を退社し

教育と探求社を設立しました。40歳を過ぎてからの脱サラ起業に

不安がなかったと言えば嘘になります。しかし、物心ついた時から

ずっと探し求めていた自らの生きる意味をようやく見つけたという

思いは、それに勝るものでした。合理主義で傲慢だった当時の私が

残りの人生を通して、少しでも社会の役に立ちたいという思いを

抱くに至ったのは、「公益性」という価値を、新聞社に学ばせて

もらったおかげと、今でも感謝の気持ちは変わりません。

起業してからのこの10年は、本当に様々なことがありました。

信じられないような素晴らしい出会いや、奇跡のような瞬間に

立ち会うこともありましたし、その一方で目を背けたくなるような

厳しい現実とも何度も直面しました。

しかし、たとえどんなに厳しい時でさえ、この道を歩んだことを

ただの一度も後悔したことはありません。

たくさんの人の支えと幸運に恵まれて、何とか創業から10年を

迎えることが出来ました。子どもたちの豊かな未来や、

多様で活力ある日本の社会に向けて、どれほどの貢献ができたのか、

心許ない限りではありますが、それでも今日まで歩んで来た道が

間違いではないことだけは確信しています。

今年、博報堂や野村総合研究所と一緒にはじめた未来教育会議という

取り組みで、9月に、デンマークへ教育視察に行ってきました。

その地では実に多くのことを学びました。

社会の在り方は教育の在り方と直結していること、

本当の民主主義はまさに教育現場の日々の実践で培われていること、

子どもは未熟な大人ではなくて尊厳を持ったひとりの人間として

扱われるべきであること。

私は、この旅で、自分がこれまでやってきたことに、大きな承認を

もらえたような気がしました。おまえが進んできた道は

間違えていないよ、そう言われているような気がしました。

今、日本という社会は行きつ戻りつしながらも、

大きな階段をひとつ上ろうとしているように私には思えます。

そして、その重要な鍵を握るのが「教育」だと思っています。

「教育」は未来をつくるエンジンです。

私たち教育と探求社は、これからの10年もさらなる教育の発展と、

豊かで幸福な社会の構築に貢献していきたいと考えています。

引き続き、みなさまの厚いご支援とご指導を賜りますよう

何とぞよろしくお願い申し上げます。

教育と探求社

代表取締役社長 宮地 勘司