the voice

探求する人たちの声


教育と探求社の事業に関わり、
共に学びを探求する企業人、行政、先生、生徒など
多様な人々の声が集まりました。

文部科学大臣補佐官
東京大学・慶應義塾大学 教授

鈴木 寛 先生

クエストでの実績がより評価される時代になる

「学力世界一」の15歳がなぜ高校でつぶされてしまうのか

皆さんは日本の15歳の学力が「世界一」と言えるくらいのレベルにあることをご存知でしょうか。OECDのPISAと聞くと、日本の教育関係者の方々は2003年調査で順位が急落した「PISAショック」を思い浮かべるかもしれませんが、その後順位は回復しました。最新の2012年調査の結果では、読解力や科学的リテラシーはOECD諸国トップクラスで、数学的リテラシーでも上位に位置しています。
しかしながら、日本の企業や大学の国際競争力は決して高いとは言えません。なぜ学力世界一の15歳が高校でつぶされてしまうのか?その最大の要因は大学入試制度にあると考えられます。生徒たちの思考力、判断力、表現力を伸ばすことの重要性は意欲のある先生方なら誰もが分かっておられることですが、現行の入試で実績を出すためには、学年が上がるごとに丸暗記式の勉強にシフトせざるを得ないのです。

学び続ける意欲を引き出すアクティブ・ラーニング

実はPISAの2012年調査の結果から、日本の15歳の最大の課題と言えるのが「学ぶ意欲」です。例えば数学についての本を読んでいる生徒や、数学が将来の仕事に役立つと思っている生徒の割合は低いですし、数学が得意でないと感じている生徒の割合は高くなっています。2003年調査からは改善しているものの、学ぶ意欲、学ぶ喜びに関しては順位が非常に低いのです。
多くの仕事が新しい仕事に取って代わられるような世の中においては、一人ひとりが一生学び続けることを求められます。そう考えると、学ぶ意欲は今の学力以上に重要だと言えます。では、どうすれば学ぶ意欲を引き出せるのか。その答えの1つが、PBL(Project Based Learning)など実社会と接続したアクティブ・ラーニングです。先ほどのPISA調査で順位が回復したのも、小中学校でアクティブ・ラーニングが普及した成果だと考えています。
大学でもアクティブ・ラーニングが広がっています。「日本の大学生は勉強しない」という声をよく聞きますが、これは都市伝説です。文系学部で講義が中心のところの話です。実技・実習・実演があるような学部では日本の大学生の学習時間は長いことが分かっています。アクティブ・ラーニングを取り入れれば大学生も勉強するのです。

コンピュータにはできない「感動を与える力」を

今、大学入試制度も大きく変わろうとしています。小論文などの思考力を問う試験を導入したり、面接で高校3年間の活動歴を評価したりする動きが広がっています。この先、アドミッション・ポリシーの公表が法令化されるようなことになれば、大学が特色を出そうとする動きはますます加速するでしょう。
クエストエデュケーションは中高生が実社会とふれ合うことのできるアクティブ・ラーニングの先駆けで、これだけの規模で10年間も実施しているプログラムは他に例がありません。5年後、10年後には時代が追いついてきて、このような活動歴がさらに評価されるようになると確信しています。
コンピュータがどんどん高度になって世の中に普及してくると、人から言われたことを覚えて高速に正確に再現する作業はコンピュータに任せようということになります。人間にしかできない仕事は、世の中に1つしかないものを自発的に作り出すこと、一期一会の中で人間同士の関係をつくることです。クエストエデュケーションでは、中高生のプレゼンテーションを聴いた審査委員が感動に涙することもめずらしくありません。1つのことに懸命に取り組む中で、コンピュータには実現できない「感動を与える力」をぜひ身につけてほしいと思います。

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