教育と探求社 EDUCA&QUEST | 『教育と探求』Vol.31 2014/2/12”『クエストカップ2014全国大会』出場校決定”

2014年02月12日

『教育と探求』Vol.31 2014/2/12”『クエストカップ2014全国大会』出場校決定”

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

ソチ冬季オリンピックが始まりました。
スキー・フリースタイル女子モーグルの
上村愛子選手の素晴らしい滑りをテレビで観て
感動した人も多いことと思います。

圧倒的なスピードと躍動感溢れるパフォーマンスで
決勝コースを滑り終えた上村選手は、
自らのスコアを確認する前から
ゴーグルの中で涙を流していました。

曰く、「メダルは獲れなかったけど、
すべての力を出し切った。
自分らしい滑りができたと思う。
今は清々しい気持ちだ」

ここに至るまでに一体どれほどの努力を
積み重ねてきたことか。
彼女は、この日、ライバルたちと戦ったのではなく
最も苛酷な自分との戦いに勝利したのだと思います。

“人生に於いて「成功」は約束されていない。
しかし、「成長」は約束されている。”

これは2009年のクエストカップで
審査委員を務めた田坂広志さんが
開会式で生徒たちに贈ったことばです。

人生には、さまざまな苦労や困難、
失敗や敗北、挫折や喪失があり、
誰もが成功できるわけではありません。
しかし、失敗や挫折を自らの「成長の糧」
とする覚悟があるならば、人生において
「成長」は約束されている。

今月22日、今年で9回目となる
「クエストカップ」が開催されます。

その日、グランプリを目指して全国から集った
64のチームと個人が力を尽くして戦います。

受賞の栄誉に浴するのは一握りのチームです。
しかし、この日、この場を目指して生徒たちは、
どれだけの努力を重ねてきたことか。

出口の見えない話し合いや仲間割れを乗り越え、
逃げ出したくなる気持ちに打ち勝ち、
力を振り絞って今日まで作品を磨き続けてきました。
その歩みにこそ、価値があるのだと思います。

2月22日、君たちの「成長」に、
心からの応援と祝福を贈りたいと思う。

教育と探求社
宮地勘司

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教育と探求社からのお知らせ
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(1)「クエストカップ2014」全国大会の出場校決定!

来る2月22日(土)、法政大学市ヶ谷キャンパスにて
「クエストカップ2014全国大会」が開催されます。
全国約一万人の中高生が、日頃の探求の成果を
社会に向けて発信する「クエストカップ」。

今年も厳しい事前審査を勝ち抜いた
全64チームが企業の方々をはじめとする
審査委員の前でプレゼンテーションを繰り広げます。

◆予選結果はこちらから
www.questcup.jp/2014/result/

なお、一般の方の参観は下記サイトから
お申込みいただけます。
席数に限りがありますので、お早目にお申込みください。

◆詳細・お申し込みはこちらから
www.questcup.jp/2014/ (公式HP)
www.wazoo.jp/open/questcup2014/
(応募フォーム)

(2)“教育”をテーマに新たな価値を創造する
新プロジェクト「未来教育会議」を発足

教育と探求社は、博報堂ブランディングチームらとともに
「未来教育会議」を立ち上げました。
複雑化し、制度疲労を起こしつつある今日の教育課題を
マルチステークホルダーで解決しようという試みです。
3月16日にはキックオフシンポジウムを開催します。
関心のある方は、是非ご参加ください。

◆詳細はこちらから
goo.gl/bCr6z4

◆キックオフシンポジウムへのご参加はこちらから
www.wazoo.jp/open/mirai/

(3)関東の先生たちによる自主イベント
「Q-Fes’~五感×共有=∞~」開催

去る1月18日(土)、東京の安田学園高等学校にて
有志教員による自主企画、運営イベント
「Q-Fes’~五感×共有=∞~
(クエストフェスティバル~五感・共有・無限大)」
が開催されました。

◆当日の様子はこちらから
eduq.jp/news/archives/4606

(4)東海エリアでクエストに取り組む生徒たちによる
合同発表会「東海カップ2014」開催

去る1月13(祝)、愛知の名城大学附属高等学校にて
クエストエデュケーション・企業探究プログラム導入校の
生徒たちによる合同発表会
「東海カップ2014」が開催されました。

◆当日の様子はこちらから
goo.gl/OIeZVw

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2.クエスト実践事例紹介
[佐久長聖中学・高等学校(長野)]
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このコーナーでは、
「クエストエデュケーションプログラム」
を導入している学校の授業での様子や、
ご担当の先生のインタビューを紹介します。

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先生インタビュー
【佐久長聖中学・高等学校 宮澤先生、釘宮先生】
導入学年 (企業探究コース)中学3年生
(進路探究コース)中学2年生
ともに東大医進・難関大コース、スキルアップコース
授業科目 総合学習の時間
授業時間数 24時間
導入年数 1年目(2013年~)
www.chosei-sj.ac.jp/

Q.進路探究コースで難しかったところは
どんなところでしたか?

A.宮澤:自分の未来について執筆するところでしたね。
なりたいものが何もない子は、完全にフリーズして
いました。
でも、この年頃でなりたいものが明確に決まっている子
の方が実際は少ないと思うんですよ。
親が医者とか、そういう特殊な環境で育った子は
別ですが、大抵の生徒は目の前の勉強で精一杯で、
自分の将来のことまで考える余裕はないと思います。
ましてや、まだ中2ですから、大学が何年間通うものか
すら曖昧な子もいるぐらいです(笑)

だから、手が止まってしまう生徒たちには
「自分がどんなスキルを持っているのか?」
「何が好きなのか?」ということを問いかけて
考えさせました。
例えば、ゲームが好きだからゲーム会社に入る
というような簡単なものじゃないですよね。
プログラミングが好きなのか、それとも純粋に
ゲームするのが好きなのか。
掘り下げていくと、何がやりたいのか
どんなことに自分が関心を持っているのか、
少しずつ見えてきて、未来の自分を書く
とっかかりにはなっていたようです。
人によって掘り下げの深い浅いはあるものの、
やはりじっくり時間を掛けて自分の考えを熟成させる
のはとても大事なことなんだな、と改めて感じました。

ちょっと話が逸れてしまうんですが、
今年初めての試みだったため土曜日に連続4時間の
時間割を組んでしまったんです。
そこは生徒たちに申し訳なく思っていますね。
執筆みたいなところはどうしても煮詰まってしまうので、
来年度はもう少し間隔を空けた時間割にして
彼らがゆっくり自分のことについて考える環境を作って
あげたいと考えています。

それと、僕たち教員が常に夢を語ることも
大事だと思うんです。
僕は、彼らが中1の時から「この学校の校長になって、
改革する!」ということをずっと語ってきたんですが、
そういういう姿を見る内に自然と
「自分は何がしたいのか?」と考えるきっかけを
作ることもあるかなと。

Q.企業探究コースに取り組んでみて、
印象に残っていることは何ですか?

A.釘宮:インターンする企業を決める
「公開採用面接」ですね。
公開採用面接は人気のあった企業だけ行ったのですが、
採用されるかどうか決めるのが“クラス全員による投票”
という形を取ったので、大変盛り上がりました。
面接では「なぜこの企業に入りたいのか」
「自分のアピールポイント」の2点をクラス全員の前で
発表してもらったのですが、自分のよさを
しっかり認識できていることに感動しましたね。
部活動での自分の役割だったり、普段心がけていること
など、何気ない日常の中で彼らなりに色々考えている
ことに感心したし、そういう一面が見られて
本当によかったです。

Q.学年全体で授業実施するにあたって、
工夫されてきたことはありますか?

A.釘宮:企業探究コースの場合、
全22チームを教員10人体制で見ているので
次のステップをやる前に必ず学年団で打ち合わせを
行うとともに、教育と探求社からいただいた
指導ガイドを元にオリジナルの指導書を作成して、
担当する先生方に毎授業配布しました。
いただいた指導ガイドをそのまま使うということも
できましたが、生徒たちの理解度や進行具合によっては
時間を多く掛けたいSTEPもあったりするので
指導ガイドをうまく利用しながらアレンジしていました。

あとは、生徒たちが仲間の想いを共有できるように
毎授業の終わりに記入する「今日のひとこと」から
いろいろな生徒たちの意見を抜粋したものや
生徒たちが考える「なくなっては困る会社」を
ランキング形式にまとめた「クエスト通信」
という学年通信を定期的に発行していました。

Q.進路探究コース、企業探究コース両コースを導入して
よかった点はどんなところでしょうか?

A.宮澤:進路探究コースでは、生徒たちが
想像以上にいろいろな能力を持っているということに
気づけたことですね。
このコースの前半で行うドキュメンタリー作品では、
僕たちが何も教えていないのに、びっくりするような
手法で発表してくれたんですよ。
はじめは「本当に大丈夫なのかな?」というところが
「こんなにクリエイティブなことができちゃうの?!」
に変化して、今までこちらが手取り足取りし過ぎていたの
かな(笑)と考えさせられましたね。
それから、「人に見せる楽しさ」に気づいたようで
「どうやったら人に見てもらえるのか?」ということを
今まで以上に意識するようになったと感じています。

一方、コース後半で行う自分のこれまでの過去と
未来について執筆するステップでは、
自己開示することによって起こる
子供たちの変化ですね。
過去も未来も、どちらを執筆するにしても
限られた授業時間の中で、半ば強制的に
書かねばならない状況に追い込まれる。
自分というものと向き合わざるを得ないわけです。
それによって、突き抜けるように明るくなりました。
言ってすっきりしたのでしょう。
「将来なりたいものを初めて書いた」
という生徒もいました。

釘宮:企業探究コースでは、ステップが進むにつれて
生徒たちが考え、相談し合う雰囲気になったことですね。
私たちが何も言わなくても、グループ内で教え合ったり、
意見を言い合えるようになっていたなと。
プレゼンに関しては、同じ中学2年生で取り組んでいる
奈良県の西大和学園の取り組みに感化されて、
それぞれのチームが工夫を凝らして発表していました。
よきライバルといった感じで、相当刺激を受けていた
ようです。

あとは教員たちも刺激をもらったことでしょうか。
導入一年目ということで始めた当初は
不安の方が大きかったですが、
企業の方々が足を運んでくださったり、
他校の先生方と出会うことで多くの刺激をもらい、
生徒たちだけでなく、私たちも全力でこの授業に
取り組むことができました。
お陰さまで、一年間の授業を終えてみて、
今は不安が全くなくなりました。
今月の全国大会にも出場が決まりましたので、
その経験も含めて次年度以降に活かしていきたい
と思います。

◆過去の記事はこちらから
eduq.jp/interview/?p=696

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3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~
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このコーナーでは、ある高校でクエストに取り組む
現場の教師が、生徒と共に日々奮闘する姿を
エッセイ風に書き綴っていきます。

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2月3日「今の自分に満足しているか?」

ちょうど2週間前、初めて大きな舞台で
自分たちの作品を発表する機会を得た。
校内の発表会では惨憺たる結果だった彼女たちにとって
この日は、第三者からの評価を受けることになる。
これまでにない緊張を味わったはずだ。

翌週になって、彼女たちに発表の感想を書いてもらうと
ある生徒が書いた一文に目が留まった。
「本当は全国大会とかどうでもよいのです。
ノリで言ったり、言ってなかったり」

紙の端っこに、落書きのように書かれた一文には
どんな想いが込められているのか。
なぜ、彼女はこんなことを書き残したのだろう。

発せられたことばが、必ずしも真実とは限らない。
一見、どうでもいい会話の中に流れていくことばを
一つひとつつないでいくことによって、
思いもよらぬ結果が見えることもある。
今の段階では、彼女のことばをそのままストレートに
受け止めるのは、あまりにも早い気がした。

そうこうしているうちに、全国大会に選ばれた
という知らせが届いた。
彼女はこの知らせを聞いて、
どんな表情をするのだろうか。

「クエストカップの結果って、
だれか先生から聞いてる?」
結果発表をできるだけさりげなく、
淡々と伝えることにした。
「なんか、チーム全員が集まったら、
昼休みに全員で聞きに来るように言われましたけど…」
「じゃあ、まだ知らないんだね」
「はい…」
「ふーん、そっか。今言っていい?」
「えっっ!!」
「おめでとう、全国大会出場決まったよ!」
ほかの生徒たちの大きな拍手に包まれて、
歓声を上げる生徒たちの中で
“全国大会なんてどうでもいい”発言をした
彼女もまた、驚きと喜びの表情を浮かべていた。
ホッとした反面、彼女がなぜ、あの一文を
書き残したのか、ますますわからなくなってきた。

その数時間後、クエストの授業の中で
全国大会に向けてのブラッシュアップ作業を行っていた。
そこで彼女にそれとなく、こう質問してみた。
「過去の自分と今の自分、どっちが誇れる?」
彼女は迷うことなく「絶対、過去の自分」と答えた。
「今の自分は全然頑張っていない。
昔の方が一生懸命勉強してたから」らしい。

それを聞いて、すべてがつながったような気がした。
彼女が考えたプレゼンの作品タイトルにもなっている
“今の自分に満足しているか?”
とは、彼女自身に向けられたことばなのかもしれない。

何かに真剣に向かおうとする自分と、
それがやり切れるのかという不安な自分との狭間で、
感情が行ったり来たりしている。
そんな中で“全国大会なんてどうでもいい”
ということばを書くに至ったのではなかろうか。

彼女は今の自分を誇りに思えず、悶々としている。
私は、彼女にさらにこう質問してみた。
「それじゃあさ、過去と未来の自分
どっちに誇りを持てるようになりたい?」
「もちろん、未来!」

その翌日の昼休み、彼女が私のところへ
相談しにやって来た。

“今の自分に満足しているか?”
自分たちのプレゼンのタイトル通りに
自分自身に問いかけ、行動を起こし始めている。

彼女は彼女自身の未来に
誇りが持てるようになれるだろうか。
全国大会で、これまでと違った彼女が
舞台に立つ姿が目に浮かんだ。

◆過去の記事はこちらから
eduq.jp/days/archives/1295



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