教育と探求社 EDUCA&QUEST | 「教育と探求」Vol.3 2011/09/15

2011年09月15日

「教育と探求」Vol.3 2011/09/15

前回告知しました「クエストエデュケーションフォーラム2011」では
お陰様で多くの来場者にお越しいただき、大盛況のうちに終了致しました。
今回参加したきっかけがメールマガジンだったという方も中にはいたようで
大変嬉しく感じております。
また、フォーラム内でのワールドカフェに刺激を受け、学校行事として
企画された先生もいたようです。

今後も、読者の皆さんにとってより良き情報と、どこでも味わえないような
刺激を発信し続けますので、奇譚のないご意見・ご感想を頂けたら幸いです。

—-【目 次】 ————————————————–

1.教育と探求社からのお知らせ
2.クエスト実践事例紹介 [桜丘高校(愛知)]
3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~

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1.教育と探求社からのお知らせ
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(1)NEC匠塾「自己探求の旅」が開催されました。

去る9月1日(木)、5日(月)NEC匠塾「自己探求の旅」が行われました。

このプログラムは、これまで第一線で活躍されてきた企業退職者や
シニア層の方々を対象に、社会のために自らのスキルを役立て
社会貢献活動を始めるきっかけを作ることを目的としており、
半年にも及ぶ様々な活動の導入授業として、これまでの人生を振り返り、
自らの価値観を形成する過程を、日本経済新聞社で掲載されている
「私の履歴書」の形式で発表していただきました。

◆当日の様子はこちらから⇒ http://eduq-news.com/archives/732

(2)クエストエデュケーションフォーラム2011が開催されました。

去る8月23日(火)法政大学市ヶ谷キャンパスにて
「生徒が輝くキャリア教育」をテーマに、産学連携による
キャリア教育の可能性を探る教育フォーラムを開催されました。

今回はじめての試みであった「ワールドカフェ」形式のセッションでは
学校の先生や企業人、NPO関係者、大学生など100名近くの方々が集まり
それぞれの観点から「人が輝くキャリア教育に必要なもの」について
和やかな雰囲気の中、自由にかつ創造的に語らいました。

普段なかなか話をできないようなメンバーでテーブルを囲み
日頃感じている疑問や考えをぶつけあう時間は、非常に刺激的で
大いに盛り上がった一日となりました。

◆当日の様子はこちらから⇒ http://eduq-news.com/archives/643

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2.クエスト実践事例紹介 [桜丘高校(愛知)]
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このコーナーでは、「クエストエデュケーションプログラム」を導入している
学校の実際の授業の様子やご担当の先生のインタビューを紹介します。

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3回目となる今回は、2006年度から毎年全国大会に出場し、
2007年、08年と2年連続で企業賞を受賞した桜丘高校です。

愛知県豊橋市に位置する桜丘高校は「たくましい知性の育成」を
教育目標に掲げる中高一貫の学校です。
日頃から体験活動や創造的活動、アクティブな教育活動を行っている中でも
一斉授業から開放されるクエストの授業は、生徒の人気も高く、
2月に行われる学内発表会には付属中学の生徒や保護者など
多くの参観者が参観するにぎやかな行事になっています。

クエストの授業に取り組んでいるのは、高等部1年に所属する28名。
10月から3月までの短い期間の中で、週2時間の「総合学習」を利用して
進めているそうです。

毎年冬休みは全国大会への作品を仕上げるために、冬期講習や
部活動の合間を縫って意欲的に活動時間を捻出しています。
「冬休み明けの提出締切日、晴れ晴れとした表情で作品を提出する
生徒たちの姿を見るのが毎年の楽しみ」という門先生に話を伺いました。

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先生インタビュー 【桜丘高校 門恭香先生】

Q. クエストをやるようになって、どのようなところで生徒の変化や
成長を感じますか?

A. 「学ぶという行為」、「社会の厳しさ」、「社会で生きていく事」
それぞれに対して、とても謙虚な姿勢を示してくれるようになったと思います。
それから、「創造する喜び」を感じとってくれるようになりました。

私たちの学校では、前期の総合学習の授業で国際社会の諸問題を学び、
その解決策となるアクションプランを作成し、学内発表をします。
それに対して、後期のクエスト授業では学習形態は似通っていますが
自校の枠を超えて作品を評価し合える、スケールのまったく違う場所
「クエストカップ全国大会」が用意されているわけです。

そこでは企業の方から直接講評を受けることができ、自分たちの企画が
企業や社会で通用するのか確認をする事ができます。
そしてこのことが、どれほど生徒たちのモチベーションを高めるか、
私たち教師はそれをしっかり知らしめられた6年間でした。

日々の授業とは全く違う、ゼロから仕上げていくような創造活動や、
ダイレクトに社会と繋がっているという現実感を持てる授業は、
刺激の強い現代社会で生きている生徒たちにとっては
とてもモチベーションを高めやすいのだと思います。

実際、生徒たちの感想を聞いてみると、「この活動を通して、
社会で生きていく上での自分の力というものを客観視することができた」
という感想や「大人たちが、日々こんな大変なことに取り組んでいることを
知って、少々見直した」等々、前向きなものがほとんどでした(笑)。

Q. 周りの先生方や学校全体として、どのような変化がありましたか?

A. 教師側の変化としては、生き生きとした生徒の反応や普段とは違った、
生徒同士の対話を中心とする授業形態に触発されて、授業改革に取り組む
先生が出てきたという点が挙げられると思います。

実際、社会科のある教師は、クエストの授業を担当したことをきっかけに
現代社会の授業で、まずは生徒にレポートをメールで提出させ、
授業内で発表をさせる、という生徒主体の新たな授業スタイルを確立できた
と喜んでいました。

クエストのような新しい教育実践に対して、当初は消極的な教師も
多かったのですが、プログラムがしっかり出来上がっているので
無理をさせることなく先生方にも担当を引き受けてもらえるという利点があり
その結果、このような変化を起こすきっかけにつながったのだと思います。

また校内発表会では、毎回校長や教頭に審査委員をお願いすることによって
年々クエストへの理解を深めてもらっていると感じています。

Q. 授業の取り組みとして、先生が工夫していることはありますか?

A. まずスタート時のインターン企業選択について、本校独自で作成した
申込書を生徒に書かせ、企業の審査を経て採用・不採用が決まる、
という設定で行っています。このひと工夫によって、生徒たちに
一層のリアリテイーとモチベーションUPを与えています。
(生徒たちには内緒ですが…(笑))

それから、教師はファシリテイターに徹することを原則としていますが、
生徒と深くかかわっていく事も同時に大切な教育活動ととらえているため、
担当教師も企業から出される課題(ミッション)については、しっかり研究し、
生徒へのアドバイスや意見への的確な応答に心がけてもらっています。
(寝ても覚めても、ミッションのことばかり・・・一時期、教師もこうなります)

でも結局は、まずは「教師も生徒も共に楽しもう!」ということをモットーに、
とにかく楽しく進められるように心がけています。

Q. クエスト以外の、学校独自で行なっている取り組みはありますか?

A. 本校では、教科教育以外に「問題解決型」の総合学習にも
大きな比重を置き、様々な教育プログラムを5年間一貫教育として
進めています。

基本コンセプトとしては、中学時には問題解決学習の土台作りとして
調査・研究・討議発表訓練などを行い、高等部では実際の地域や社会、
企業と関わる中で問題解決学習を深めていきます。

具体的には、中学1年で豊橋市の野外施設で水質検査や野草研究、
水田作り等を実施し、まとめとして校内発表をする
ビオトープ(環境学習)活動を行います。

そして2年になると、アジア研究として韓国の言葉や文化、歴史を研究・
調査し、韓国への修学旅行で実地学習を経て、3年では自由なテーマでの
卒業論文制作にはいります。

高校進学後は地域・社会と具体的に結びつく活動へとシフトしていきます。
高等部1年では前期にアジアの諸問題を研究、アクションプランの作成をし、
夏休みには国際貢献活動として、フィリピンでのマングローブ植樹に
取り組みます(希望者)。

そして後期から始まるクエスト活動。
私たちはクエストエデュケーションプログラムを中学1年次から系統的に
取り組んできた「問題解決学習」の総決算の場と位置づけています。

この教育プログラムの締めくくりとして、最後に社会や企業の営みを学び、
実在企業の研修生となってミッションの企画プラン作成に挑み、評価を得る。
クエスト活動を得たことで、私たちはこのプログラムを完結させる事ができた
と思っています。

Q. 最後に、クエストの協力企業に対して今後こんな関わり方をしてもらいたい
と思うことがあれば、どうぞ。

A. まずは、生徒たちのモチベーションアップの意味で、豊橋は距離的に
遠いですが、可能な限り、企業の方の訪問をお願いしたいです。
企業の方との接点という意味では、TV会議などのメディア機器を駆使した
手法でもよいかもしれませんね。

それから生徒たちをひきつけ、本気度を高める最大のポイントは
一層の現実感、リアルさだと思うので、プレゼンへの審査、助言では
本音の厳しさで応答をお願いしたいです。
特に全国大会での先生方や企業人の講評は、生徒にとって
最高の宝となるので、どんどん生徒に迫ってほしいと思います。

ミッションの内容については、単なる商品開発的なものではなく、
教育的視点を含めた理念の高いものを、できる限り目指していただきたい
と思います。

それから以前のクエストカップで、各企業本社での発表という年があった
と思うのですが、あれはとても良かったと思います。
運営上大変かと思いますが、生徒や教師にとっては、自分たちの企画が
その企業の社屋内で、しかもその企業の人たちを前に発表できるということは
緊張もすると思いますが、とても貴重な体験となると思います。
このような形がまたできることを願っています。

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3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~
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このコーナーでは、ある高校でクエストに取り組む現場の教師が、
生徒と共に日々奮闘する姿をエッセイ風に書き綴っていきます。

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9月8日「企画会議を開く」
今日は後期一回目の授業、企業から出された課題(ミッション)について
その答えを考えるための企画会議を開いた。

彼女たちがインターンとして所属している企業はクレディセゾン、
スカパーJSAT、大和ハウス、テーブルマーク、日本経済新聞社、
そして森永製菓の全6社。

どの企業も一筋縄ではいかない深いミッションを提示している。
例えば、「日本の未来をここからつくる 人が集い、歓び、つながる
100年続くまちづくり計画を提案せよ」といった具合で、その企業が
まさに今、本気で考えているテーマをそのまま子どもたちに問うているのだ。

企画会議というと、ひたすら話し合いを重ねるイメージがあるが
この授業では「ブレインストーミング(通称ブレスト)」という手法を使って
企画案を練り上げていく。

まずは自分の所属する企業から出されたミッションを見て、
そこからひらめいた言葉や感じた言葉をひたすら付箋に書き出す作業をする。

しばしの静寂の時間。思い思いの言葉を何枚もの付箋に書き連ねていく姿は
何度見てもドキドキする。

続いて、各々が書き出した付箋を声に出してシェアしながら
机の上に並べていく。
意味の近いもの同士を分類し、それぞれの付箋の関係性を考えながら、
自分たちの企画案を紡いでいくのだが、そこで急に流れが止まる。

生徒たちは、簡単に答えが見つからない問いに対して
すっかり途方に暮れてしまったようだった。

付箋に書き出した言葉を口々にいいあっていたときの
イキイキとした姿とは一変して、互いが言葉を失い、目の前に並んだ
たくさんの付箋を眺めながらなんとも困惑した表情を浮かべている。

方向性を示されない恐怖に支配された生徒の表情は絶望的にすら見える。
それを見てしまうと、助け船を出したい、と無条件に思う
教師の本能的反応との葛藤。

これは日頃の授業や学校内での活動では、殆ど見られない光景だ。
通常は、生徒が答えを見つけられないとき、教師はゴールに向かう
手順を与える。

少し自分で考えれば誰もがそれなりのゴールに近づけるように、
生徒の力量に合わせて適当な塩梅でゴールに至るまでの手順を設定する。
そして、少しの工夫の余地を残すことによって生徒たちに「達成感」という
小さなご褒美を与えるのだ。

ところが、この授業ではそんな妥協は一切許されない。
ひたすら生徒たちを問題と正面から向き合わせ、考えさせるのだ。

感じたことをそのまま言葉にして吐き出してほしい。
心でそう願いながらも、いざ目の前で生徒が考え込んで、
焦れば焦るほど無理にまとめようと必死になっている姿を見ると
何か言いたい衝動に駆られるのだ。一種の職業病だとわかりながらも。

ブレストの最大の肝は「感じたことをそのまま言葉にすること」だと私は思う。
目にした言葉、他の人が発した何気ない言葉から感じたことを
どんな小さなことも拾い上げ、“恰好つけずにありのままの言葉で”発する
勇気こそが思いもよらぬ発想を生み出すきっかけになるのだと思う。

イメージとしては、幼子が母親に「なんで空は青いの?」と尋ねる
何気ない質問のようなものだ。

人は本来、誰もがそんな何気ないことにも不思議を感じる感覚を持っている。
しかし、目や耳から入る情報が蓄積され、様々な人と関わるうちに
少しずつ「心で感じたことを言葉にする」感覚を押さえつけられ
素直に感じる心をどこかに置き忘れていくのかもしれない。

ブレストの理想的なイメージとして、もう一つ思い出すのが放課後の
生徒たちの何気ない会話だ。

気心の知れた仲間と、心の赴くままに延々と会話をする感覚。
話題があちこちに飛んで、とりとめのない話が思わぬ方向に逸れていくとき
心が最大限に開いて、一切飾らない生の言葉が浮かんでくるものだ。
そんなときこそ、人は創造的な発想が出来るのではないかと感じている。

これからどれだけの時間が掛かり、その結果、どんな場所に行きつくか
わからないけれど、恐れず、飾らず、「これってどういうことだろう?」という
幼子のような心を持って浮かぶ限りの言葉を吐き出してごらん。

仲間が発した言葉を心で感じて、思い巡らせてごらん。
そんな人にこそ、自らの奥底に眠っている「心の声」が天から降りてくるから。

来週の更なるブレストに向けて、彼女たちに、このことを実感してもらえるよう
授業冒頭部分でしっかりマインドセットできる仕掛けを考えよう。
彼女たちの本来持っている感覚を呼び起こすことが
来週までの私に与えられたミッションである。

そのためには私自身も、彼女たちの一挙手一投足にも心を配り、肌で感じて
自らの心の声を引き出さなければならない。

そして、何よりもまずは生徒たちの底力を信じよう。
そう心に誓った一日となった。

◆過去の記事はこちらから⇒ http://goo.gl/WMIfK

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◎「クエストエデュケーションプログラム」ムービーサイト
http://questmovie.jp/
◎「クエスト企業探求コース」協力企業ミーティングの様子
http://eduq-news.com/archives/568
◎過去のバックナンバー
http://eduq.jp/acmailer/backnumber.cgi

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