2011年08月16日

「教育と探求」Vol.2 2011/08/16

前回の創刊号では多くの反響を頂き、誠にありがとうございました。
まだまだ始まったばかりで奮闘中ですが、読者の皆さんにとって
より良き情報と、どこでも味わえないような刺激を発信し続けることを
目指しています。
今後ともぜひ奇譚のないご意見・ご感想を頂けたら幸いです。

—-【目 次】 ————————————————–

1.教育と探求社からのお知らせ
2.クエスト実践事例紹介 [埼玉県立新座総合技術高等学校]
3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~

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1.教育と探求社からのお知らせ
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(1)「クエストエデュケーションフォーラム2011」の開催、迫る!

「生徒が輝くキャリア教育」をテーマに、産学連携による
キャリア教育の可能性を探る教育フォーラムを開催します。
今回のフォーラムでは、先生方や企業の皆さんなど、
参加された方々が一緒になって語り合っていただく、
「ワールドカフェ」というスタイルでのセッションも予定しています。
是非、ご参加ください。

日時: 平成23年8月23日(火)13:30~17:30
会場: 法政大学市ヶ谷キャンパスボアソナードタワー26階スカイホール
対象者: 教師・学校関係者・教育に関心の高い企業人

以下のサイトにてお早めにお申し込みを!
◆詳細・申し込みはこちらから⇒ http://www.wazoo.jp/open/qef2011/

(2)日経エデュケーションチャレンジ2011が開催されました。

去る8月5日(金)法政大学市ヶ谷キャンパスにて
「日経エデュケーションチャレンジ2011」高校生のための社会スタディが
開催されました。

当日は全国から412名もの高校生が集まり
第一線で活躍される企業人の白熱した授業を聴き
たくさんの刺激を受けていました。

当日の報告や参加した高校生のリポートは
9月中旬の日本経済新聞朝刊に掲載される予定です。

◆イベント準備から当日までの様子はこちらから
⇒ http://adnet.nikkei.co.jp/a/edu/ (公式HP)
http://ja-jp.facebook.com/nikkeieducationforumandchallenge.fanpage (Facebook)

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2.クエスト実践事例紹介 [埼玉県立新座総合技術高等学校]
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このコーナーでは、「クエストエデュケーションプログラム」を実践している
学校の授業の様子やご担当の先生のインタビューを紹介します。

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2回目となる今回は、クエスト導入8年目となるベテラン校、
埼玉県立新座総合技術高等学校です。

新座総合技術高校は、昭和58年に全国初の複合型専門高等学校として
誕生し、現在も工業・商業・家庭の3つの基礎学科に6つの小学科、
電子機械科・情報技術科・デザイン科・国際ビジネス科・服飾デザイン科・
食物調理科という多彩な学科を展開している学校です。

クエストエデュケーションプログラムを実施しているのは、
国際ビジネス科に所属する3年生。
80名余りの生徒たちが毎週3時間「課題研究」の授業の一環として、
賑やかに授業を行なっています。

授業を行う実習室には、チームごとに作業ができる大きなテーブルと
パソコンが配置されていますが、ブレストの時はこのテーブルを使わず、
生徒達は床に車座になったり、自由なスタイルで
ノビノビと取り組んでいるそうです。

普通の教室の2倍はあろうかというこの大教室からは、
毎年数々のドラマが生まれています。
5年連続全国大会に出場という快挙に加えて、
平成18年度には見事グランプリも獲得している通称「ニイソウ」の
強さの秘密を小林先生に聞きました。

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先生インタビュー 【埼玉県立新座総合技術高等学校 小林宏先生】

Q.授業をするとき、どんなところに難しさを感じますか?

A.私の学校では教員6人体制で授業を行なっているのですが、
生徒たちがブレストなど話し合いをする際に、
教員が放任主義になってしまうことが問題だと最近感じています。

クエストの授業を行うときには、私も他の先生も「ファシリテイター」
つまり「指導者」ではなくて、「支援者」という立場で
生徒と関わるように心がけています。
しかし生徒の底力を信じる余り、つい見守るだけのスタンスになってしまい、
「ファシリテイションと放任」の微妙な違いに難しさを感じています。

「ファシリテイション」では答えを教えないことが大切ですが、
その分、生徒が自ら探求できるような「支援」をしなければなりません。
決してほったらかしではありません。
この違いがとても難しく、8年目を迎えた今、本校の教員団も
その違いについて、自分たち自身で答えを見つけていくタイミングだと
考えています。

実は、ここ何年かクエストの授業に限らず、クラス経営や進路指導、
部活動指導などでも、「ファシリテイション」ということを大切にしています。
生徒に何か話す時なども、私の答えを押し付けるのではなく余韻を持たせ、
生徒がもやもやするような状態をわざとつくりだします(笑)。
いったい先生は何を考えているのだろうと、わからなくなり
彼らははじめて自分の力で感じたり、考えたりできるようになっていきます。

Q.プログラムを導入するようになってから、生徒や先生たちの変化は
どうですか?

A.私は最初の授業で必ず生徒たちに向かって
「クエストの授業の間は、私たちは先生じゃない!だから、答えは教えない!」
と高らかに宣言します(笑)。
これを聞いて、生徒たちはもちろん、ほかの先生方も戸惑いますね。
生徒はこれまでの授業とは全く違うスタンスで問題に
取り組まなければならないし、先生もまた普段と違ったモードで
生徒と向き合わなければならないわけですから。

私たちの学校は専門的な技術を身に付けさせる学校ということもあって、
職人気質の先生が非常に多いのが特徴です。
そのため、どの先生も面倒見が良く、とことん教えてあげたいのが本音です。
それをぐっと堪えて、生徒が自分で答えをみつけていく過程を見守ることは
非常に難しいところでもありました。

しかし、生徒たちが自立して、主体的に取り組んでいく姿に徐々に感化され、
今では先生たちもどっしりと構えて、この授業のときだけは「先生モード」を
OFFにすることができるようになったと思います。

一方、生徒たちの順応性は素晴らしいですね。
はじめは、先生に答えを教えてもらえないことに戸惑うのですが
部活の例を挙げて、優勝するための戦法やトレーニングメニューに正解はなく、
みんなが自分たちであれやこれやと考えるのと同じことだよ、という話をすると
「なるほどな!」と納得して、先生に頼らずにチームの力で解決しよう
というモードに自然と入り込めるようになりました。
これは大きな変化ですね。

Q.授業する上で、工夫していることはありますか?

A.教員が講評するのではなく、生徒同士で振り返るということをしています。

生徒たちが発表をした後は、教員がそれを講評するのではなく、
必ず生徒たち自身にじっくりと振り返らせ、相互に感想を書かせています。
教員は、生徒たちが書いたすべての感想に目を通して、
その中から面白いコメントや鋭い気づきなどをピックアップします。
そして次の授業で、それらのコメントを生徒にフィードバックするのです。

彼らはそれを受けて、自分とは違ったたくさんの考えや
感じ方があることに気づき、更に発想が広がっていくようです。
と同時に、「クラスメイトが自分たちのこんなところを見てくれて
評価してくれているんだ」と認められた歓びから
モチベーションが上がるように感じます。

普通の教科では、当たり前に先生が評価するわけですが
実は我々が評価するよりも、生徒同士が考えを共有し改善点を指摘し、
承認し合う方が、遥かに学びの成果が大きいのではないでしょうか。

Q.最後に、これまでの8年間で印象に残っている思い出を教えてください。

A.(しばらく考えて)そうですね…
あまりにたくさんありすぎて、挙げるのが難しいですね。
・・・それと、もうひとつ、エピソードが挙げられない理由として、
私自身の心境の変化というものがあるのかもしれません。

かつてこのプログラムを導入した当初は、
「**ができなかった生徒がこんな事ができるようになった!」とか
一つひとつのエピソードに心震わせていたのですが(笑)、
今は、もっと生徒一人ひとりの可能性を信じられるようになっているので、
いい意味で、さらに大きな期待をかけられるようになってきました。
生徒たちに、とことん深く探求させるにはどうしたらよいか、
それが最大の関心事ですね。

以前はどうしても果たしたかった全国大会出場やグランプリ受賞も、
今はそれが最終目標ではありません。
結果はどうであれ、生徒が仲間たちと一緒に学んでいくプロセスの中で、
何を気づき、何を得たのか、それに勝る大切なモノはないですからね(笑)。

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3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~
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このコーナーでは、ある高校でクエストに取り組む現場の教師が、
生徒と共に日々奮闘する姿をエッセイ風に書き綴っていきます。

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7月12日「前期授業を振り返る~悔しさが生み出す底力」

今日は、前期授業の締めくくりとして作文の課題を出した。
目的は、生徒と私自身がそれぞれ授業の振り返りをすることだ。

振り返ってみたら、今年度から始めた「クエスト」の授業は
生徒にとっても、私自身にとっても、困難の連続だった。

ワークブックの内容に触発されて、つい色々な話に脱線してしまい
授業時間をオーバーするのは当たり前、チームでの発表準備では
生徒たちが遅くまで残って他の授業に支障をきたすこともあった。

そこまで生徒たちが熱中することは嬉しい限りではあるが
その反面、他の先生方には相当迷惑を掛けてしまったのも事実だ。
授業運営という意味では、課題が山積みだ。

でも振り返りをしたかった一番の理由は、授業の中だけでは生徒たちの
本当の声を拾いきれていないのではないか、という不安があったからだ。

生徒たちの感じたことは、一体どのような形で文章に表れるのだろうか。
そして、その声を自分は真摯に受け止めることができるだろうか。

期待と不安の中、いざ生徒たちの作文に目を通して、
予想以上の衝撃を受けた。

何気ない日常の中にこそ、成長のエッセンスが隠されていることに
改めて気づかされた。

人は本気で何かを掴もうとするとき、挫折や悔しさをめいっぱい味わう。
そして、それを乗り越えようとすることで底力が生まれてくるのかもしれない。

作文の中で、ひときわ目を引くものがあった。
それは、普段から何事においても積極的に取り組むことがなく
感情をあまり表に出さない生徒のものだった。

その生徒はクラスで唯一、インターンする企業を決めることができなかった。
「決められないから、どれでもいい。」というそっけない彼女の一言に
「それじゃあ、私が決めてもいい?」と、言葉の本当の意図を汲み取らずに
インターン先企業を決めてしまった。

「決められない」本当の理由が作文の中に書いてあった。
彼女は、どの企業も魅力的で一つに絞れなかったということを
つたない文章で綴っていた。
6社のインターン受け入れ企業の動画を見ながら、彼女がどれほど胸躍らせ
期待でいっぱいの気持ちになっていたかを想像すると
浅はかな自分の思い込みに、とても恥ずかしい気持ちになった。

街頭アンケートで駅前に調査しに行ったときの、彼女の姿も印象的だった。
彼女以外のメンバーが、見ず知らずの人に一生懸命声を掛けている中で
一人だけ壁にもたれて、じっと皆の様子を眺めていた。
彼女がただ単に、やる気がないのだと感じていたが、それも大間違いだった。

彼女は目の前にいる人にどのように声を掛けたらよいか混乱してしまい、
その場にいることが精一杯だったのだ。
そんな自分の不甲斐なさを、作文に切々としたためていた。

同じようなことを書いていた生徒がもう一人いた。
その生徒は、先生に声を掛けることすらままならないくらいシャイな生徒だ。

彼女は誰とも群れをなさず、一人で街頭インタビューに挑戦していた。
でも肝心の一言が出てこず、見知らぬ人の後ろを
ひたすら追いかけることを繰り返していた。
結局、一時間余りの調査では誰にも声を掛けることができなかった。

その生徒もまた、声を掛けることすら出来なかった自分に
心底悔しさをにじませていた。
そして、その日の帰り道、家の近所で勇気を振り絞って
道行く人にアンケートをお願いしたこと、たくさんの人が協力してくれて
人の優しさに触れて感動したことを綴っていた。

この作文を書かせなかったら、知らないうちに生徒の乗り越える
ハードルを下げて小さなステップの達成を手放しで喜ぶ
安易な自分の姿勢に、絶対に気付かなかっただろう。

思わぬ場面で味わう悔しさは、人をぎりぎりの状態に追い込み
自らの内なる心の声を感じ取るきっかけをつくるのだ。
そんな心の声に気づいたとき、初めてその壁を乗り越える
決意が生まれるのであり、そういった本能を誰もが生まれながらにして
備えているのだと思う。

生徒たちが、そんな心の声に気づいたとき教師として、
どんな後押しができるだろうか。

彼らの心の声を受け止める神経を、
もっと研ぎ澄まさなければならないことを感じさせてもらった一日となった。

◆過去の記事はこちらから⇒ http://goo.gl/4vxSX

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◎「クエストエデュケーションプログラム」ムービーサイト
http://questmovie.jp/
◎「クエスト企業探求コース」協力企業ミーティングの様子
http://eduq-news.com/archives/568
◎過去のバックナンバー
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