クエストエデュケーションは、実在の企業や先人を題材に「生きる力」を育む学習プログラムです。
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「教育と探求」Vol.23 2013/6/11”『教育』の真の使命とは?”

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

昨年夏、私も含めた16人の登壇者が参加して開催された
カンファレンス「これからの『教育』の話をしよう」が
一冊の本になりました。

このカンファレンスは、学校関係者をはじめ、
教育に関わるさまざまな立場の人々が
Facebook上で集い、実現したものです。
登壇者たちが語ったテーマは離島における
高校活性化の実践、東日本大震災後の大学の活動、
卒業生をSNSで「ふるさと」へつなぐ教師の取り組み、
ボードゲームを活用した学びの深化、等々、実に多様。
それぞれが独自の視点から、教育への思いを発信、
共有し、未来の教育についての議論を深めました。

そもそもFacebook上で自然発生的に始まった
この取り組み、だれもが主催者であり、参加者であり、
当事者であるようなこの感じが
とても今日的であると思いました。
機械的組織論に立脚しない、生命的な多様性と
共振性に満ちたグループによる取り組みは
メンバーそれぞれの思いがなければ動き出すことすらなく、
共感はあっても予定調和はなく、当事者意識はあっても
不毛な責任論はありません。

皆それぞれが持てるものを持ち寄り、分かち合い、
楽しみ、語り合いながら、未来へ向けての糧とする。
その在りよう自体が、まさに「教育」というテーマを
取り扱うのにふさわしいものだと感じました。

私がこの日、会場で話したのは
「探求型教育が育む『市民の力』」というテーマです。

もしかしたら「市民」という言葉は、
あまりぴんと来ない人もいるかもしれません。
正直いえば、この仕事をはじめる以前の私もそうでした。
無機質に感じたり、時にはある種の政治臭を感じながら
特段の思い入れもなく、この言葉を使っていました。

しかし、ある時、これから来るべき社会の姿を
純粋にイメージし、そこに生きる人々を想定すると
彼らを呼ぶのに、この「市民」という言葉以上に
しっくりとくる表現はみつかりませんでした。

すべての人が目覚め、自立し、主体的に生きる社会。
世の中で起こるあらゆることを他人事とせず
自分事として考え、行動する人々。
そのような人々は、「国民」よりも「庶民」よりも
「生活者」よりも、まさに「市民」と呼ぶのがふさわしい
と思うのです。

一年前のこの日、カンファレンスに集まった人々は
まさに「市民」たちでした。自分事として、
教育を通じてよりよき社会をつくるという目的に
純粋にコミットした人々だったと私は思います。

だれもが、企業人である前に、ひとりの市民として、
教師である前に、芸術家である前に、
メディア人である前に、政治家である前に、
ひとりの市民として生きる。
それしか、今の社会に横たわる多様で複雑な問題を
解決できる道はないのではないでしょうか。

そして、そのような市民を育てる事こそが、
「教育」の真の使命だと思います。

教育と探求社
宮地勘司

—-【目 次】 ————————————————–

1.教育と探求社からのお知らせ
2.クエスト実践事例紹介 [西大和学園中学校(奈良)]
3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~

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1.教育と探求社からのお知らせ
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(1)「New Education Expo 2013(大阪)」に出展します

来る6月21日(金)、22日(土)の二日間、
日本最大の教育関係者向けセミナー&展示会
「New Education Expo 2013 未来の教育を考える」
が東京開催に引き続き、
大阪マーチャンダイズ・マートにて行われます。
弊社の「クエストエデュケーションプログラム」
も出展いたしますので、お時間のある方は
是非足を運んでみてください。

◆詳細はこちらから

http://eduq.jp/news/archives/4364

(2)日経エデュケーションチャレンジ2013のご案内

このイベントは日本経済新聞社・茨城県・つくば市主催、
弊社が企画運営に携わっている
高校生向けの教育イベントです。
第一線で活躍する研究者や企業人が教師となり、
イノベーションを題材に授業を行います。

13回目となる今年はノーベル賞学者の
江崎玲於奈氏をはじめとする研究者や、
第一三共、LIXIL(リクシル)といった
さまざまな分野の企業による白熱した授業が
全国の高校生へ向けて展開されます。

日時: 2013年8月20日(火) 12:30~17:30
場所: つくば国際会議場
参加資格: 高校生
定員: 1,000名
参加費: 無料
主催/茨城県・茨城県教育委員会・つくば市
つくば市教育委員会・日本経済新聞社
後援/文部科学省・科学技術振興機構・経済産業省
協力/一橋大学イノベーションセンター・教育と探求社
協賛/インテル・オムロン・クラリオン・首都高速道路
   第一三共・東京エレクトロン・東京ガス・パスコ
   BASFジャパン・日野自動車・プルデンシャル
   ジブラルタ ファイナンシャル生命保険・LIXIL
   (50音順)

(3)日本コカ・コーラ本社でクエストカップ出場チームが
  社長プレゼン

去る5月21日(火)、日本コカ・コーラ本社にて
2月に行われた「クエストカップ2013全国大会」
(http://questcup.jp/2013/index.html)
で日本コカ・コーラ賞を受賞したクラーク記念国際高等学校
横浜青葉キャンパスと実践女子学園高等学校
両校の生徒たちが、社長をはじめとする役員の方々の前で
プレゼンテーションを行いました。

◆詳細はこちらから

http://eduq.jp/news/archives/4392

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2.クエスト実践事例紹介[西大和学園中学校(奈良)]
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このコーナーでは、「クエストエデュケーションプログラム」
を導入している学校の授業での様子や、
ご担当の先生のインタビューを紹介します。

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今回インタビューを行ったのは、
昨年度からクエストを導入した奈良県にある
西大和学園中学校。
同校は1986年に創立された歴史の浅い学校ながら
京都大学合格者数で全国一になるなど、
難関大学に高い進学実績を誇る全国有数の進学校です。

同校が創立から短期間で全国屈指の進学校に飛躍した
理由の一つとして、つねに新しい教育方法を模索する
校風が挙げられます。

世界に通用する優秀な科学技術者を育成することを目的に
文部科学省が設置したスーパーサイエンスハイスクール
(SSH)に初年度から認定され、学習指導要領に捉われない
先進的な講義・研究を行い、生徒たちの知的好奇心を
向上させ、学習意欲の更なる向上に繋げています。

クエストはこのSSHの枠組みの中に位置付けられ、
中学2年生全員で取り組んでいます。

昨年度のクエストカップでは2チームが全国大会へ出場、
クエスト導入校の中で最年少ながら
堂々としたプレゼンテーションで、会場がどよめくほど
完成度の高い企画を提案してくれました。

この一年を振り返り、その後生徒たちや学校が
どのように変化したか、昨年授業を担当して下さった
宮北純宏先生と谷口弘芳先生のお二人に
お話をうかがってきました。

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先生インタビュー(前編)
【西大和学園中学校 宮北 純宏先生・谷口 弘芳先生】

Q.全国大会出場が決まった2チームに対して
特に意識して指導したポイントはありますか?

A.谷口:クレディセゾン賞を受賞したAh! squat Ch.
(アー! スクワットチャンネル)チームについては
企画の内容がかなり具体的に決まっており、
実現性も高いものだと感じたので
いかにリアリティを持たせるか、
その表現方法について徹底的に話し合わせました。

このチームは人前で喋ることに抵抗の少ない生徒たち
ばかりだったので、自分たちの思いを伝えるための
よりよい構成を探り、全国大会前日まで直していましたね。
たったひとつの言葉の表現ですらも
「これじゃ伝わらないから○○にしてみよう」とか、
生徒同士がダメ出しし合って、
結局リハーサルが終わったのは夜中3時ですから(笑)

当日の発表の様子をご覧いただいた方は
わかると思うのですが、このチームは全体を通して
お芝居の形式を取っています。
そのため、実は「こういうことをいう」という程度の
大筋しか決めていなかったんです。

お芝居にリアリティを持たせるには
台詞が用意されていない方が、より「生」の言葉が
彼らから出てくるかなと思って。
そのお陰で練習には相当時間を掛けましたし、
形にするまでには相当苦戦しました。

特に、最後にこの企画の思いを語る役の生徒は
全員の思いを一手に背負っていたので、
大会前日の夜中まで生徒にも先生たちにも
「全然伝わってこない!」と罵られながら(笑)
何度も何度もやり直しさせられていました。

その彼が一年の振り返りとして書いてくれた
感想文がここにあります。
「先生方に『思いを語れ』と繰り返し、
繰り返し言われてきましたが、実際どのようなものか
本番ギリギリまでまったくわかりませんでした。
でも、セカンドステージですべてを出し尽くし、
発表を終えたときに初めて、先生方の仰っていたことが
わかった気がしました」って。

残念ながら企業グランプリは逃しましたが、
思いを込めて伝えることの意味を
しっかり身体でつかんだということが
彼らにとってすごく大きな価値があったのだと思います。

それに対して西大和ハウス(大和ハウス)チームの場合は
提案する商品(高速エレベーター)がとても壮大なもので、
しっかり論理的な裏付けや改善策なども考えてあって
内容的には素晴らしかったんですが、
論理的にまとまり過ぎていて
彼らの思いの部分が込められていないのが問題でした。

プレゼンを聞いていて、徹底的に調べて考えてきたことが
わかって「すごいな~」と唸るような内容なのに、
まったく心に響かなかった。

なぜそうなってしまったかというと、
このチームはAh! squat Ch.チームとは真逆で、
人前で話すことが苦手な生徒ばかりだったからなんです。
だから、一人ひとりが宇宙に向けて思い描いた夢を
いかにストレートに語れるかどうか、
そこにとことんこだわって指導しました。

そのために私たちがしたことは
一人ひとりが思い描いた夢を聞き出し、
それをチーム全員で共有して、
台本に落とし込むという作業をしました。
台本が完成したのは全国大会前日の真夜中でしたが(笑)
まったく不安はありませんでした。

それは、たとえ台詞が飛んだとしても、
そこに至るまでの過程の中で自分たちの思いを
しっかり持つことができたと信じていたからですね。
本番の発表はややたどたどしい部分もありましたが、
思いをしっかり乗せて語ることができたと思います。

Q.クエストに取り組んで、生徒たちは
どのような変化がありましたか?

A.谷口:自分の思いを語れる機会が持てたことによって
生徒たちが自信を持って人前で話すようになりました。

うちに入学してくる子たちって、
小学4・5年生くらいから塾に通って
勉強漬けの日々を送ってきた子がほとんどなんです。
だから小さい頃から勝負の世界にさらされ、
数字で評価されていることに慣れている彼らは
ちょっとした発言にも慎重になる。
白黒はっきり答えが出ることや
確実に成功することがわかっていないと、
まず発言はしないんですよね。

それが色々な企業の方々が授業訪問して下さって
温かい言葉を掛けてくれたり、
校内発表会で励ましてもらったり、自分たちの頑張りを
たくさんの大人たちが認めてくれたことによって
彼らの壁が取っ払われたように感じます。

それともう一つの変化は、
グループで話合いをするスキルが
格段に上がったことです。

私たち教員がクエストに関わったことによって、
通常の授業の中でも協同学習というものを
頻繁に行うようになったのですが、
こちらが何もいわなくても「教え合い」
「学び合い」が勝手に起こるようになりました。

しかも、以前よりもずっと高度なアウトプットを
出してくるようになった。
話し合いをする度にこちらの期待を裏切ってくれるので、
私たち教員も毎回刺激をもらっているくらいなんです。
これは間違いなく、クエストで話し合いのトレーニングを
積み重ねた結果です。

宮北:谷口がすべて話してくれたので、
私が話すことはほとんどないのですが(笑)
今まで積極的に行動できていなかったような生徒が
企業のみなさんに応援してもらったお陰で、
夢を実現する大きなエネルギーをもらったと感じています。

実際、西大和ハウスチームで高速エレベーターを提案した
生徒の中には、卒業研究としてクエストで提案した企画を
論文にしてまとめている子もいます。

何が何でも実現してやるんだ、という思いが
彼を突き動かし、行動に移している姿をそばで見ていると、
教員が勇気をもらいますね。
そういう気持ちに変化させたのは間違いなく
クエストでたくさんの企業の方々が
生徒たちの取り組みを評価して下さったからです。
(次号につづく)

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3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~
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このコーナーでは、ある高校でクエストに取り組む
現場の教師が、生徒と共に日々奮闘する姿を
エッセイ風に書き綴っていきます。

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5月27日「心の奥に眠っていることば」

企業から出されたミッション(課題)を受け取り、
本格的な話し合いが始まった。
生徒たちが選んだ企業はソフトバンクグループ。
ICTの力を使って“理想の学校を考える”という
彼女たちにとって非常に身近なテーマが与えられた。

ブレインストーミングを始めるにあたって最初にすることは
一人ひとりがミッションに書いてある資料を読み込み、
思いついたことを付箋に書いていくことである。
しかし、今回はその前に彼女たちに
いくつかの質問を出すことにした:

Q.みんなはどんなときに本気になる?

A.「逆境から這い上がる瞬間」
 「自分の得意なことを生かしている瞬間」
 「自分の実力を多くの人に見せる瞬間」
 「大切な人のために何かをする瞬間」
 「夢・目標を明確に見つけた瞬間」
 「課題等の〆切が近づき、追い込まれている瞬間」

Q.どんな学校だったらワクワクする?

A.「みんながそれぞれわかり合い、認め合える学校。
  その結果、何かを本当の自分としてできるような学校」
 「自分をめいっぱい表現でき、
              一人ひとりの個性が出せる学校」
 「何度も開きたくなるような教科書があったらいい」
 「授業でやっていることと自分の好きなものが 
 どのようにつながっていくのかわかるような授業」
 「“黒板とにらめっこ”状態じゃない授業」

Q.すべての子どもたちが幸せになるためにできることは?

A.「みんなで協力し、ひとつのものに取り組んで達成する」
 「相手に自分を理解してもらえるような環境が整っている」
 「そこにいるだけで癒されるような場をつくる
               (たとえば小動物がいるとか?)」

考えさせた時間はたかだが10分程度。
こんな言葉が出てくるとは想像もしていなかった。

彼女たちは私が出した問いの本質を
しっかりととらえていた。
普段、何も考えず学校生活を送っているかのように
見えていたが、実は色んなことを感じ、
考えていることを初めて知った。

しかも彼女たちは、ここまで具体的に
理想の学校の姿を心の中に抱きながらも、
現実とのギャップをしっかり受け止めて、
当たり前のように学校に登校し、文句もいわず
真面目に授業を受けている。
これってすごいことであり、彼女たちに
とても酷なことをさせているのかもしれない。

彼女たちが書いてくれた回答を見ていると
一教師として理想の教育の提供や、
理想の学校づくりにどれだけ貢献できているか、
胸を張って言えない自分が恥ずかしくなった。

人をハッとさせるような真実のことばというのは
彼女たちが今回出した回答のように
普段は心の奥深くに眠っていることが多い。
だからこそ、それを引き出すことは
一筋縄ではいかないのだ。

実際、ミッションを受け取ってから今日までの何時間かで
彼女たちがブレインストーミングで出した付箋には、
意味不明なことばや当たり前のようなことば、
安直なことばばかりが書かれ、
模造紙の上に雑然と並んでいる。
彼女たち自身も「こんな自由な雑談ばかりしていて
本当に企画が出来上がるのだろうか」と内心不安らしい。

でも、何が化けるかはだれにもわからない。
彼女たちの内から自然と生まれ出てきた“ことば”には
何かしら必ず価値がある。
その価値に気づき、磨くのは彼女たち自身だ。

たくさんの遠回りをしながらも、
楽しんで山登りをしている彼女たち。
今はガラクタにしか見えない
たくさんの“ことばたち”の中から
どんな“宝の原石”を発見するのだろうか。

どうか恐れず前へ前へ、
勇気を持って進んでほしいと心から願う。


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