クエストエデュケーションは、実在の企業や先人を題材に「生きる力」を育む学習プログラムです。
ML申し込み

「教育と探求」Vol.22 2013/5/14”クエストカップ2013映像公開”

おはようございます。
教育と探求社の宮地です。

今春から「クエストエデュケーションプログラム」を
新たに導入する中学・高校が大幅に増えました。
東京、大阪、神奈川、新潟、長野、愛知など
全国で15校にのぼり、合計では60校を超えました。

その多くが、すでにクエストを実践している先生方からの
紹介によるものです。
ご支援いただいた多くの先生方、
深いご理解を示していただいた行政の方、
保護者のみなさんにもあらためて、
心より御礼を申し上げたいと思います。

「クエストエデュケーションプログラム」は
かなり長大なプログラムです。
最低でも20時間、時間をかける学校では
年間80時間をこのプログラムに充てています。
放課後の生徒の自主的な取り組みまでを入れると、
さらにその何倍もの時間を使っていることと思います。

しかも「クエスト」は、これを学ぶ生徒にとっても、
指導する先生にとっても、ある意味では、
極めて苛酷なプログラムだといえます。
答えもない、ゴールも見えない、一瞬できたと思っても
納得がいくまで何度もやり直さなければならない、
そのプロセスで必ずと言っていいほど仲間割れも起こる――。

それはもう、これまでの学校の常識とは全く異なるものです。
しかし、そこにこそ「学び」というものの本質が
あるのではないでしょうか?
訳がわからないものに巻き込まれ、翻弄され、もがき苦しみ、
でも気がつくと、少しだけ何かができるようになったり、
わかるようになったりしている、そんな自分に出会う。

そして、それこそが「生きる」こと、そのものであると思うのです。

人生はときに、あまりにも辛く、いっそすべてを放り出して
逃げ出したいと思うこともある。
でも、どんなときでも、ただ自分を信じて、
例え小さな一歩でも、足を前に出して歩き続けるしかない。
そうすると、不思議と、それまで全く見えなかった道が
忽然と目の前にその姿を現す。
そんな体験を一度でもした人間は本当に強いと思います。

これほど苛酷なプログラムがなぜ、こんなにもたくさんの
学校に受け入れていただいているのか。
実践される先生方の勇気と努力、生徒を思う深い愛情に
ただ敬意を抱くばかりです。

志ある先生たちの見えないネットワークが
まるで地下茎のように全国に広がって、
どくどくと熱く脈を打っているように感じています。

ここから、新しい日本が生まれることを確信しています。

教育と探求社
宮地勘司

—-【目 次】 ————————————————–

1.教育と探求社からのお知らせ
2.クエスト実践事例紹介 [県立皆野高等学校(埼玉)]
3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~

————————————————————–

□■■□■■□■■□

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.教育と探求社からのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(1)日本コカ・コーラ本社でクエストカップ出場チームが社長プレゼン

来る5月21日(火)、日本コカ・コーラ本社にて
2月に行われた「クエストカップ2013全国大会」
(http://questcup.jp/2013/index.html)
で日本コカ・コーラ賞を受賞したクラーク記念国際高等学校
横浜青葉キャンパス「DREAMAR★」と実践女子学園高等学校
「Miss コカ・コアラ♥」の生徒たちが社長をはじめとする
役員の方々の前でプレゼンテーションを行います。

◆詳細はこちらから

http://eduq.jp/news/archives/4351

(2)クエストカップ2013の映像を公開しました

今年2月に開催した「クエストカップ2013」の
ダイジェスト映像を下記サイトにアップしました。

http://goo.gl/r0oYz

オープニングムービーに始まり、生徒たちの
プレゼンテーションの様子や受賞後の感想、
最後は、関係者のインタビューがまとめられています。
是非、ご覧になってください。

(3)日経エデュケーションチャレンジ2013のご案内

このイベントは日本経済新聞社・茨城県・つくば市が主催して
第一線で活躍する研究者や企業人が教師となり、
全国の高校生に向けてイノベーションを題材に授業を行います。

13回目となる今年はノーベル賞学者の江崎玲於奈氏を始めとする
研究者や、第一三共、LIXIL(リクシル)といった
さまざまな分野の企業による白熱した授業が
全国の高校生へ向けて展開されます。

日時: 2013年8月20日(火) 12:30~17:30
場所: つくば国際会議場
参加資格: 高校生
定員: 1,000名
参加費: 無料
※すべて予定

(4)「生徒が輝く体験学習」~先生のための勉強会~
のご案内

教育と探求社では、全国の学校へお伺いし、
無料で先生のための勉強会を開催しています。

「キャリア教育に関心がある」、
「生徒のためになる面白い授業を行いたい」、
等、ご要望をお聞かせ下さい。
目的に沿った勉強会をご提供させていただきます。

◆詳細・お申し込みはこちらから

http://eduq.jp/seminar/index.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2.クエスト実践事例紹介 [県立皆野高等学校(埼玉)]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このコーナーでは、「クエストエデュケーションプログラム」
を導入している学校の授業での様子や
ご担当の先生のインタビューを紹介します。

□■■□■■□■■□

先月から3回にわたり、クエストカップ2013全国大会で
グランプリ受賞を果たした各校の先生インタビューを
お届けしています。
シリーズ最後を飾るのは「自分史」部門でグランプリを獲得した
埼玉県立皆野高等学校です。

2005年からクエストに取り組んでいる同校は、
ビジネス総合の授業の時間を使って
進路探究コースを導入しています。

過去に、何名ものグランプリ受賞者を輩出してきた駒村先生は、
独自の指導スタイルで生徒たちの個性や感性を最大限に引き出し、
魅力的な作品を作り出してきました。

今回はそのエッセンスを探るべく、お話をうかがいました。

□■■□■■□■■□

先生インタビュー【埼玉県立皆野高等学校 駒村 哲先生】

Q.御校の生徒たちの自分史は過去編も未来編も素晴らしい
作品がたくさんありましたが、生徒たちに執筆させる際に、
何か心がけていることはありますか?

A.生徒たちを自由に解放してあげることですね。
といっても、何でもかんでもやりたい放題やらせるのではなくて、
自由は規律の中にこそ生まれるものなんです。

だから「自由に何でも書いていいよ」といいながらも、
書き方としてダメなものはダメとはっきり伝えることから始めます。

例えば、生徒たちの中には、自分の年表をつくったあと、
単純にその年表をなぞって文章を書いていく子が多いんですよね。
そのときはすかさず
「それは年表のあらすじであって、作文ではない!」
といっちゃうんです。
そうすると、生徒は「じゃあ、どうやって書けばいいんだ!?」
というような表情をしながらも考えます。
時には怒ったり、ふてくされたりしながら(笑)

生徒たちは迷いながらも一生懸命考えようとするんです。
そして、行き詰まって飽和状態になったときに
すかさず「こんな書き方もあるよね」というように
いろんな言葉のボールを投げるんです。

例えば、面白かったことや辛かったことを分類してみたら、とか
その中から一番書きたいテーマを選んだとき、
それを軸にどのように過去のエピソードと結んでいくか
線でつなげてごらん、とか。

だから、自分が何かボールを投げるときは
特定の生徒に向けてではなく、
「だれかが拾ってくれるかな」という感覚で授業中、何度も投げます。
生徒それぞれ受け取ってくれる球は違うと思うんです。

ただし、答えは教えません。
あくまで一例として、いろんな方向性をさらっと語りかけると、
それがきっかけになって書き始めたりするんです。

Q.御校が進路探究コースの自分史執筆に力を入れている
理由は何ですか?

A.最近の子って、妙に現実的な考え方をしますよね。
諦めが早いというのかな。
自分で自分の可能性を潰してしまっている子が多いように感じます。
進路の話をしても、自分の将来に対して正面から向き合わない。

だから、生徒たちに自分史の目的を説明するとき、
「自分自身と話をしなさい」ということを何度も伝えます。
このプログラムをやっている理由はそこにあります。
自分の内面と正面から向き合うことで
将来にしっかり目を向けて巣立ってほしいんです。

といっても、そう簡単に自分と向き合うことはできません。
そこで私が特に意識してやっていることは机間巡視をしながら
生徒と雑談のような形でいっぱい言葉を交わすことなんです。

雑談っていうのは、つまり、生徒たちに
人生のターニングポイントをどこの視点でとらえるか
わからせるきっかけを与えることなんだと思います。

生徒が何気なく発したひとことには
色んなメッセージが隠れています。
そのボールを拾い、方向性を示すのが私の役目です。
「それってどういうこと?」
「なんでそう思った?これは○○っていうことかな」
というように、自然体で彼らが語れる場を作ってあげると
自分すら気づかなかった新たな一面が浮かび上がってきて、
それがきっかけで一気に筆が進むなんてことは多々あります。

数年前の授業でこんなことがありました。
高2が終わっても、進路がまったく決まっていなかった
男子生徒がいたのですが、彼は3年で自分史執筆を書く段になって
案の定書けないわけですよ。

そこで、彼がどんなことに興味を持っているのか聞き出す。
「車が好き」という、たったひとことをきっかけに
彼と色々なことを話しましたね。
最終的には彼が考えもしていなかった自動車の整備士という
選択肢に行きつき、未来の自分史を書き上げ、
卒業後、整備士の専門学校へ進学しました。

そして現在、彼はホンダの整備士として活躍しています。
未だに彼とそのご両親と会う機会があるのですが、
その度に「あの時間があったから、今の○○があるんだよね」
と感謝されていますね(笑)

Q.自分史を執筆する際、生徒たちの指導で
工夫していることがあれば教えてください。

A.まず大前提として、自分史の過去編と未来編の執筆のスタンスを
分けて考えています。
過去編は過去の事実であって、それを自由に書くように指導します。
ただし、「書きたくないことは書くな」ということと、
「みんなに向けてではなく、私(先生)に向けて書きなさい」
というようにしています。

プログラム的にはクラスで発表することを推奨していますが、
自分は人に見せる必要はないと考えています。
その理由は、過去編を執筆するときには、
辛いことや苦しいことと向き合うこともあるので、
外に向けて話そうとすると、
その生徒の生のことばを書けなくなってしまうからです。
自分自身と向き合って言葉にする方が遥かに重要じゃないですか。

一方、未来編を執筆するときは、「とにかく否定しない」、
そして生徒たちの壁を取っ払うことを意識しています。
「想像・妄想大歓迎、ただし暴走はダメ」
ということもいったりしますね(笑)

未来編は自分の未来を想像したり、妄想したりしながら
年表を埋めていきますが、そこで必ずぶつかる壁が
自分が想像した未来の憧れの姿と現実とのギャップです。

せっかく楽しく想像してみても「お金がない」「英語がしゃべれない」
「家柄がよくない」というネガティブな現実をすぐに考えるんです。
そんな生徒を見た瞬間、「そんなことはどうでもいい!」
ということを色んな例を出して、壁を取っ払います。

現状の自分がそれに見合っていないから
考えることを止めてしまうというのは違うと思うんです。
だって未来のことはわからないじゃないですか。
当たらないから宝くじは買わない
といっているようなものですよね。
行動しなければ、自分が望むような未来も
奇跡も生まないですから。

だから、生徒たちには「可能性を絶対に自分で潰すな」
ということを何度も話します。

未来編の執筆で大事なことって、過去編と違って
自分と現実をいい意味で向き合わせないことだと思うんです。
リアリティにばかりこだわると、何も書けなくなる。
そうじゃなくて、未来を現在とほんの少しだけ
離れたところに設定して、その中のどこか一つに
スポットライトを当てることだと思います。

現実と未来のギリギリのところで描いた作品は
やはり彼らの願いや希望が必ずそこに存在しています。
それを言葉にすることによって、自分が描いた未来を
彼ら自身が現実に引き寄せてしまう。
未来編の自分史を書く意味は、そんなところにも
大きな効果があるように感じていますね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3.QUEST DAYS~ある学校の授業風景~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このコーナーでは、ある高校でクエストに取り組む現場の教師が、
生徒と共に日々奮闘する姿をエッセイ風に書き綴っていきます。

□■■□■■□■■□

4月22日「新たな挑戦」

今年度のクエストの授業は“2・3年合同”の選択授業として
新たな形でスタートすることになった。

今年、クエストを選択した生徒はたったの6名。
これまで3年間、クエストの授業を指導してきたが、
こんなに少ない人数で取り組むのはさすがに初めての経験だ。

「苛酷な授業」として敬遠した生徒もいると思うが、
そこに敢えて挑戦しようと決めた彼女たちが
今どのような想いでいるのか、
その胸の内を知りたくて仕方がなかった。

たった6名を一年間じっくり指導していくことは
距離が近くなるが故に、さまざまな困難も想像できる。
適度な距離を保つことが今まで以上に難しくなるだろうし、
近い距離だからこそ、互いの信頼関係はさらに重要になってくる。

そして、辛く険しい道のりを乗り越えようとするとき
最大の支えとなるのは仲間との絆だ。
これをどのように育んでいったらよいか、
頭の中でグルグルと思いが巡り、
授業開始までの数週間は胃の痛みと闘う日々を過ごした。

初回の授業は通常、ワークブックを配布して
この一年の活動を確認するオリエンテーションを行う。
これを今回は思いきって後回しにすることにした。

この6名のために、初回は特別な授業をしよう。
そう覚悟を決めたのが授業開始の朝。
彼女たちの新しいスタートをどのように導いたら良いか
一人ひとりの生徒たちの表情や気持ちをひたすら想像しながら、
考えに考えた結果、やっと絵が浮かんだ。

授業の目的はシンプルに、二つに絞った。
ひとつは、彼女たちにこの授業を選んだことへの感謝の気持ちと
自らの覚悟を表明すること。
そしてもうひとつは、6名の生徒と私が
相互に理解し合うきっかけをつくることだ。

「実はここに来るまで、すごくいろんなことを考えました。
みんながなぜ、この大変で辛い授業を選んだのか。
みんなの本当の気持ちが知りたい。
それが私の正直な気持ちです」

突然、そんな言葉を切り出されて呆気にとられた表情をする
彼女たちを見つめながら、私はさらに言葉を続けた。

「でも一方で、ここに集まったみんな一人ひとりが
それなりの想いを持って選んでくれたのだと感じています。
どの授業よりも辛く、困難な一年を過ごすことになるこの授業を、
勇気を持って選択してくれたことに心から感謝します」

その言葉を伝えた瞬間、彼女たちの表情が
変わっていくのがわかった。
神妙な面持ちでうなずく生徒。
普段の授業で見たことがないようなまっすぐな眼差しで
こちらを見つめる生徒。
思いもよらぬ言葉に驚きながら、何かを感じ取ってくれているのが
わかり、自然と私の中にも伝えたい気持ちが溢れた。

みんなの5年後10年後の未来を思い描き、
どうしたらみんなの未来がキラキラ輝く人生になるのか
ずっと考えながら授業をしてきたこと。

これまでみんなが生きてきた世界を
180度変えるような経験を、この授業で実現したいこと。

そのために自分のすべてを捧げる覚悟で
今この教壇に立っていること。

6名という小さなチームだからこそ、深い絆を結び、
ともに困難を乗り越えていきたいことを伝えた。

そして、しばらくの間を置いて、こう切り出した。

「みんなは自分自身のことをどれだけ知っているかな」

思いもよらぬ問いに、またしても驚いた表情をする生徒たち。
自分の性格のよいところ、悪いところを聞くと、
どの生徒も恥ずかしそうに、そして自信なさげに話してくれた。

自分がどのような人間なのか伝え、理解してもらうことは
信頼関係を築く上で大事な要素である。
にもかかわらず、自分の性格、強みと弱みというものは
案外知っているようで、はっきりとは認識していないものだ。

自分を正しく理解し、また同じように相手も理解することで
この6名と私の絆が少しずつ深まっていくことを確信し、
さらに、彼女たちに自分たちの性格や強み、思考のタイプを
調べるワークをやることにした。

たっぷり一時間半かけて行ったワークの結果、
お互いの強みや思考の傾向がわかり、
授業を開始したときの雰囲気と終了後の雰囲気に
わずかながらの変化を感じることができた。

そして、最後に次のような課題を出した。

なぜ、この授業を選んだのか。
この授業に対する想いや意気込みを
レポートにして提出すること。

今日の授業でほんの少しだけでもいいから
彼女たちの心の扉を開くことができただろうか。

当初、選択肢として考えもしなかったクエストの授業を選んだ理由を
自分の将来の夢とつなげ、困難なことに挑戦したいと決意した子。

去年一番嫌いでサボってしまいたい授業だったが、
その中で得られた自分の成長に目を向け
さらに成長したいと書いてくれた子。

周りの同級生の「クエストは大変だから、絶対選ばない」
という雰囲気に何となく流されて最初は選ばなかったが、
選択していた検定授業の定員オーバーをきっかけに
「やっぱりやる」と自らの意思で選択した子。

彼女は今日のワークの結果にも触れつつ、
次のような言葉を残した。

「今回、授業でやった自分を知るためのワークの結果を見て
普段の生活でその通りの行動をしていることに気づきました。
せっかく、自分の新たな一面に気づけたわけですから、
それを生かして少しでもチームのみんなの役に立てたら嬉しいです。
一年を通して自分自身が成長したいということももちろん、
みんなで一緒に成長していきたいです」

心の扉を開くスピードはみんな違う。
だからこそ面白く、生徒一人ひとりに対する愛情が
それぞれに深まっていくのだろう。

そんな一年になることを彼女たちのレポートを読みながら想像し、
6名が一つになって全国の舞台に立つことを頭に思い描いた。

◆過去の記事はこちらから

http://eduq.jp/days/archives/1221


  • eduq_logo
  • 会社概要
  • 企業理念
  • 代表挨拶
  • アクセス
  • お問い合わせ