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teacher's voice

今回インタビューを行ったのは、昨年度からクエストを導入した
奈良県にある西大和学園中学校。
同校は1986年に創立された歴史の浅い学校ながら
京都大学合格者数で全国一になるなど、
難関大学に高い進学実績を誇る全国有数の進学校であります。

同校が創立から短期間で全国屈指の進学校に飛躍した理由の一つとして、
つねに新しい教育方法を模索する校風が挙げられます。
世界に通用する優秀な科学技術者を育成することを目的に
文部科学省が設置したスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に
初年度から認定され、学習指導要領にとらわれない先進的な講義・
研究を行い、生徒たちの知的好奇心を向上させ、学習意欲の
更なる向上に繋げています。
クエストはこのSSHの枠組みの中に位置付けられ、
中学2年生全員で取り組んでいます。

昨年度のクエストカップでは2チームが全国大会へ出場、
クエスト導入校の中で最年少ながら堂々としたプレゼンテーションで
会場がどよめくほど完成度の高い企画を提案してくれました。

この一年を振り返り、その後生徒たちや学校がどのように変化したか
昨年授業を担当して下さった宮北純宏先生と谷口弘芳先生のお二人に
お話をうかがってきました。

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先生インタビュー
【西大和学園中学校 宮北 純宏先生・谷口 弘芳先生】

Q.全国大会出場が決まった2チームに対して
特に意識して指導したポイントはありますか?

A.谷口:クレディセゾン賞を受賞したAh! squat Ch.
(アー! スクワットチャンネル)チームについては
企画の内容がかなり具体的に決まっており、
実現性も高いものだと感じたので、いかにリアリティを持たせるか
その表現方法について徹底的に話し合わせました。

このチームは人前で喋ることに抵抗の少ない生徒たちばかりだったので
自分たちの思いを伝えるためのよりよい構成を探り、
全国大会前日まで直していましたね。
たったひとつの言葉の表現ですらも
「これじゃ伝わらないから、○○にしてみよう」とか、
生徒同士がダメ出しし合って、結局リハーサルが終わったのは
夜中3時ですから(笑)

当日の発表の様子をご覧いただいた方はわかると思うのですが、
このチームは全体を通してお芝居の形式を取っています。
そのため、実は「こういうことをいう」という程度の大筋しか
決めていなかったんです。
お芝居にリアリティを持たせるには台詞が用意されていない方が
より「生」の言葉が彼らから出てくるかなと思って。
そのお陰で練習には相当時間を掛けましたし、
形にするまでには相当苦戦しました。

特に、最後にこの企画の思いを語る役の生徒は
全員の思いを一手に背負っていたので、
大会前日の夜中まで生徒にも、先生たちにも  
「全然伝わってこない!」と罵られながら(笑)
何度も何度もやり直しさせられていました。

その彼が一年の振り返りとして書いた感想文がここにあるんです。
「先生方に『思いを語れ』と繰り返し、繰り返し言われてきましたが、
実際どのようなものか本番ギリギリまでまったくわかりませんでした。
でも、セカンドステージですべてを出し尽くし、発表を終えたときに
初めて、先生方のおっしゃっていたことがわかった気がしました」。

残念ながら企業グランプリは逃しましたが、
思いを込めて伝えることの意味を
しっかり身体でつかんだということが、
彼らにとってすごく大きな価値があったのだと思います。

それに対して西大和ハウス(大和ハウス)チームの場合は、
提案する商品(高速エレベーター)がとても壮大なもので
しっかり論理的な裏付けや改善策なども考えてあって、
内容的には素晴らしかったんですが、論理的にまとまり過ぎていて
彼らの思いの部分が込められていないのが問題でした。

プレゼンを聞いていて、徹底的に調べて考えてきたことがわかって
「すごいな~」と唸るような内容なのに、まったく心に響かなかった。

なぜそうなってしまったかというと、このチームは
Ah! squat Ch.チームとは真逆で、人前で話すことが
苦手な生徒ばかりだったからなんです。
だから、一人ひとりが宇宙に向けて思い描いた夢を
いかにストレートに語れるかどうか、
そこにとことんこだわって指導しました。

そのために私たちがしたことは、一人ひとりが思い描いた夢を聞き出し、
それをチーム全員で共有して、台本に落とし込むという作業をしました。
台本が完成したのはなんと全国大会前日の真夜中でしたが(笑)
まったく不安はありませんでした。
それは、たとえ台詞が飛んだとしても、そこに至るまでの過程の中で
自分たちの思いをしっかり持つことができたと信じていたからですね。
本番の発表はややたどたどしい部分もありましたが、
心を込めて語ることができたと思います。

Q.クエストに取り組んで、生徒たちはどのような変化がありましたか?

A.谷口:自分の思いを語れる機会が持てたことによって
生徒たちが自信を持って人前で話すようになりました。

うちに入学してくる子たちって、小学4・5年生くらいから塾に通って
勉強漬けの日々を送ってきた子がほとんどなんですよ。
だから小さい頃から勝負の世界にさらされ、数字で評価されていることに
慣れている彼らは、ちょっとした発言にも慎重になる。
白黒はっきり答えが出ることや確実に成功することがわかっていないと、
まず発言はしないんです。

それが色々な企業の方々が授業訪問して下さって
温かい言葉を掛けてくれたり、校内発表会で励ましてもらったり、
自分たちの頑張りをたくさんの大人たちが認めてくれたことによって
彼らの壁が取っ払われたように感じます。

それともう一つの変化は、グループで話合いをするスキルが
格段に上がったことです。

私たち教員がクエストに関わったことによって、通常の授業の中でも
協同学習というものを頻繁に行うようになっているのですが、
こちらが何もいわなくても「教え合い」「学び合い」が
勝手に起こるようになりました。

しかも、以前よりもずっと高度なアウトプットを出してくるようになった。
話し合いをする度にこちらの期待を裏切ってくれるので、
私たち教員も毎回刺激をもらっているくらいなんです。
これは間違いなく、クエストで話し合いのトレーニングを積み重ねた
結果です。

宮北:谷口がすべて話してくれたので、
僕が話すことはほとんどないのですが(笑)
今までの取り組みでは積極的に行動できていなかったような生徒が
企業のみなさんに応援してもらったお陰で、
夢を実現する大きなエネルギーをもらったと感じています。

実際、西大和ハウスチームで高速エレベーターを提案した生徒の中には
卒業研究としてクエストで提案した企画を論文にしてまとめている子もいます。
何が何でも実現してやるんだ、という思いが彼を突き動かし、
行動に移している姿を見ると、教員が勇気をもらいますね。
そういう気持ちに変化させたのは
間違いなく、クエストでたくさんの企業の方々が
生徒たちの取り組みを評価して下さったからです。

Q.クエストの授業で苦労したことは?
また、どのようにして解決していったか?

A.谷口:チームで話し合いをしているとき、
やる気のない子や気後れして意見を言えない子を
どうやって話し合いに混ぜるか苦労しました。

どのグループもそうでしたが、必ず一人は主体的に動く子がいて、
そういう子を見ると「こいつがやってくれるからやらなくていいや」
と、上手く手を抜くんですよね。
そういう子に対しては、私たちが全体を眺めながら
リーダーにそれとなく意見をうながしてもらうよう
アプローチしていました。

一方、気後れして自分の考えが出せない子については
一人ひとり呼び出して話をしました。

例えば、西大和ハウスチームの場合でいうと
主にふたりの生徒が提案したいものがはっきりあって、
ふたりが議論するのをまわりが黙って見ている
という構図になる傾向がありました。
そこで、まずはそのふたりをそれぞれ呼び出し、
どこで意見がぶつかっているのか明らかにしてあげました。
それから、違う夢や思いを持っていても
お互いが納得できる企画というのが必ずあるということ、
ふたりだけの企画じゃないという話もしましたね。

気後れして話ができない生徒たちに対しては、
この企画はみんなで思いを寄せ合って作るものなんだ
ということを何度も話しました。
その上で、どんなことをしたいのかじっくり聞いてあげて、
みんなの夢を重ね合わせるためにどうしたらよいか
その重ね合わせ方を話し合ってごらん、とうながしました。

Q.クエストプログラムを生徒たちに取り組ませる中で
心がけてきたことは?

A.宮北:まずは、生徒自らの行動で答えを見つけ出すようになる
発問の仕方を心がけたことですね。
今までの生活では、答えが用意されている環境で
育ってきているわけですから、その部分については相当神経を使って、
指導してきたと思います。

第二に、いかに相手の立場に立って考えることができるかですね。
このようなことから、「道徳」の時間の一部を
クエストにしていた意味も大きかったと考えています。

それともう一つはクエストの授業が終わった今でも
意識し続けていることなんですが、
生徒たちの心についた“火”を燃やし続けることです。
クエストって「プログラムが終わったからそれで終わり」
では決してないと思うんですよ。
ここから学んだことをどうやって次につなげていけばよいか、
私たち教員が考え続けることが大事なんです。

実際、昨年クエストに取り組んでいたときも
私だけではなく、担当する学年の先生方が自然と
「クエストが終わったら、次にどのような受け皿を用意したらいいか」
ということを議論するようになっていましたね(笑)

クエストをやる前までは、大部分の先生方が
「なんとなく良さそうなプログラムなのはわかるけれど、
それが何につながっていくのかイメージできない」
といっていましたが、クエストに取り組む生徒たちの
真剣な表情や話し合う姿を見るうちに、
その価値を教師の直感で感じ取るわけです。
「これはクエストの中だけで終わらせたらもったいない!」って。

このムーブメントが学年団に広がったおかげで、
今年は教員研修の際谷口が旗揚げ役となって
学年団全員で教育理念と行動指針を作成しました。
決して“やらされて”作成したのではなく、
全員が教育理念を共有することに賛同し、
自分事としてやることの大切さを生徒たちから学んだからこそ
実現できたのだと思います。

それから、これもクエストの影響だと思うのですが、
各授業で先生たちのマインドが
「教科を通じて生徒の数値化されない部分といかに関われるか」
というように変化しています。
生徒たちだけでなく、先生もクエストで大いに刺激を受けているようです。

Q.先生方にとって、クエストをやろうと思った一番の目的は何ですか?

A.谷口:“本物の仕事”を彼らに体験させることです。
これまで学校の中で職業体験することはたくさんありましたが、
結局は数日なんとなく働いている人のそばにいて、
仕事の内容を見て帰ってくる程度で終わってしまうんですよ。
それがすごく不満で。

社会で仕事をするということはプレゼンで上手くいかずに
悔しい思いをしたり、アイディアが出てこなくて苦しかったり、
いろいろな壁を乗り越える体験をすることだと思うんです。
そして、それは何かを作るプロセスに関わらないと
本当の意味では理解できないですよね。

クエストの素晴らしいところは、
企業からミッションに答えるという明確なゴールに向かって
一つ一つのプロセスを踏むことだと思います。
「do」だけでなく「plan」まで体験できるこのプログラムは
本当に素晴らしいです。

宮北:従来あった職業体験について
私もずっと疑問に思っていたんです。
単発的だし、そこで行われることが本当に
生徒のニーズに合っているのだろうか、って。

そこで、試行錯誤して企業の人を呼んで
先生役になってもらって、自前で試してみようとしたのですが、
やらなければならないことが多過ぎた。
さらに、いくら学校でやれたとしても、
これが社会でどれだけ使えるのだろうかというところが
クリアにならなかったんです。
そんなときにクエストに偶然出会って、即決でしたね。
「これがまさに求めていたものだ!」って(笑)

運命的な出会いをしたクエストと一年関わってみて、
今思うのは近江商人の行動哲学である
「三方良し」※という言葉です。

つまり、クエストを通じて生徒のみならず先生も、
それに関わる企業人もすべての人に学びがあり、刺激を受ける。
だから、是非もっと多くの学校でこの教育が広がってほしいなと思います。

※「三方良し」とは、江戸時代中期に活躍した
滋賀県琵琶湖周辺出身の無名商人が行動理念にしていたもの。
売り手だけが得をするのではなく、売り手・買い手・世間の
すべてが心の底から満足するような商いをすべき、という意味のことば。


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