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2012年8月21日

昨日までの自分を乗り越えるために

クエストの授業を実施するにあたって
今年度、自らに誓った目標がある。

それは、生徒全員が「人としての誇りを持てるようになること」。
そのために達成すべきことは
「全員が悔いを残さずやり切ること」である。

結果ばかりが求められる社会で生きている彼女たちは
それが社会の常識だと信じて、疑う余裕すら与えられず、
必死になって「目に見える結果」を出そうと努力する。
もちろん、それも必要だろう。

しかし、長い人生を考えたとき、本当に必要なことは
人として成熟することだ。そして、そのためのヒントは
何か一つのことに真剣に取り組む過程で出遭う
「困難や葛藤」の中にちりばめられている。

「全員が悔いを残さずやり切ること」
そんな壮大な目標を自らに課した私は、
当然のことながら、毎回の授業で頭を抱えることになる。

目の前の生徒たちの姿は、自分の教育の善し悪しを映す鏡だ。
彼女たちの姿を見てネガティブなことを感じたときは
自分の教育がまだ至らない証拠である。
毎回の授業で自らの姿勢を厳しく問われ、試行錯誤を繰り返す。

「悔いを残さずやり切る」ということはどういうことだろうか。
私は「目の前に立ちはだかる問題から目を逸らさず、
立ち向かっていくこと」の積み重ねである、と捉えている。
これは、これからの人生で彼女たちも
何度も向き合わなければならないテーマとなるはずだ。
昨日までの弱い自分を乗り越えることを、この授業の中で
どうやって体験させればよいだろうか。

そんなことを考えていると、大きなヒントとなる出来事があった。
追試に合格できなかった生徒たちが再追試のため、
教室に残ったときの話である。

「もうできたから、テストを受けさせてください」
残ったふたりの生徒のうちのひとりが、明らかに
「早く帰りたい、この場を逃れたい」という気持ちで
私に声を掛けたことを感じたので、
「次のチャンスはないから、本当に完璧になったらやろうか」
という言葉を返した。

不服そうな表情をした彼女は、それでも私の言葉に従い、
再び自分の机に向かって、勉強を再開する。
しばらくすると、また「テストをやらせてほしい」
といってくるので、先ほどのやり取りを何度か繰り返した。

追試の終了時間まで残り1時間を切っていた。
心の中でいろいろな葛藤があった末、
「昨日まで乗り越えられなかったことを乗り越えさせること」
をさせたい、という思いが私の心を動かした。

追試に合格させるという「結果」ではなく、
追試という機会を通じて、彼女が授業で一度も果たせなかった
「苦手なことから目を逸らさず、自分の力で乗り越えること」
をこの場で絶対に実現しようと決めたのだ。

覚悟が決まると、先ほどまで気にしていた時間のことなど、
どうでもよくなった。
私はその生徒に向かって、極めて穏やかな口調で、
しかし厳しく、同じ言葉を繰り返し伝えた。

そのうち、彼女は「もう出来ないよ」と呟くと、
涙をこぼし、勉強どころではなくなってしまった。
それでも彼女は、涙を手で拭いながら必死で
ノートに向かって鉛筆を動かし始めた。

最初は「早く帰りたい」「やりたくない」という気持ちで
目を逸らしていたが、逃れられない状況に身を置かされ、
涙が止まらないほど追い込まれたのだ。

「辛いけれど、これを乗り越えようよ。
●●ちゃんだったらきっとできるから」
私にできることは、もはや彼女が問題と向き合うための
応援だけだ。その応援には、一足先に終えた
もう一人の生徒も加わり、長時間に及んだ。
張りつめた空気に満ちていた教室が、いつしか
3人で乗り越えてやるんだ、という前向きな空気に
変化していくのを感じた。

「本当によく頑張ったね、お疲れ様」
すでに2時間が経過していた。
解答用紙に大きな丸をつけて、
声を掛けたときの生徒の表情は、これまでの授業で
一度も見たことがない表情で、眩しいくらいに輝いていた。
その表情から彼女自身が壁を乗り越え、やり遂げた達成感を
味わったことを感じとった。

彼女は私に教えてくれた。
「大人の都合で生徒の行動を無理矢理変えようとするのではなく、
その子が自ら動き出すまで辛抱強く待つこと」を。
「純粋な気持ちで生徒の変化を願ったときに、
その気持ちは生徒に伝わること」を。

生徒に自分の理想を押し付けて、無理矢理行動を
強いるような教育をするようになったら、
きっと、私はこの教室に存在する価値はないだろう。

私が掲げた「全員が悔いを残さずやり切ること」という目標が
生徒たちにどのような結果をもたらすか
それは5年後10年後にならないとわからない。

もしかしたら、私が間違いを犯しているのかもしれないし、
今後、私自身が目先の結果を求めて、逃げようとすることが
あるかもしれない。

でも、彼女たちの未来を思い描くと、たとえ自分を
厳しい状況に追い込もうとも避けては通れない道だ。

気の遠くなるような高い理想を掲げ、そこへ向けて
ひたすら挑戦しようと心静かに決意した。


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